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日本人の飲酒・喫煙率の推移

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近年の日本人は、お酒やタバコをたしまない人が増えています。女性については飲酒・喫煙共にあまり変化していない(元から少ないまま)ですが、男性は大幅に減少しています。

以下は厚生労働省の統計を元に、習慣的に飲酒する人の推移をまとめたグラフです。

日本人の飲酒率の推移

1989(平成元)年には男性の飲酒率は55.6%ありましたが、2016年には31.8%と半分近くまで減少しています。一方、女性は概ね10%弱で推移しており、大きな増減は見られません。

男性の飲酒率が減っている理由は明確ではありません。有力な原因として、日本経済が停滞している事による、若者の貧困化が口コミでよく語られます。

日本人の平均年収は、ピーク時の1998年では約460万円でしたが、2016年には約420万円にまで減少しています。また日本人の相対的貧困率(年収が国民全体の中央値の半分に満たない人の割合)は、1985年が12%、2015年が15.6%です。しかもこの数値の悪化は、若年層ほど醜いです。平たく言えば「若者はお金がないから酒を飲めない」のです。

そして将来的には、ビール類の酒税改正によって、更に飲酒が減ると予測されます。2019年現在の350ml当たりの酒税は、ビールが77円、発泡酒が47円、第三のビールが28円ですが、これが2026年には全て55円に統一されます。ビールについては安くなるものの、発泡酒および第三のビールは増税となります。特に第三のビールは価格の安さが売りだったため、今後は販売数が激減する事は確実視されます。

また近年の若者は、会社での人付き合いが希薄化しており、仕事終わりに飲みに行く機会が減った事も、飲酒が少なくなっている理由です。最近では、上司が部下を半ば強制的に飲みに連れて行く行為が、立場を利用したパワハラだと認定されるケースもあるため、気軽に誘えなくなっているという風潮もあるのです。

こうした理由から飲酒する人は減っていますが、実は1日に飲む量は増加傾向にあります。1989年に2合以上飲む人の割合は約22%でしたが、2016年にはおよそ34%と、1.5倍に増加しているのです。つまり、たしなむ程度にお酒を飲む人は減っているが、「酒豪」の割合はむしろ増えているという事になります。

喫煙率低下の理由は、デメリットしかない事が浸透したため

一方、習慣的な喫煙者の男女別推移を表したグラフが以下です。1989年(平成元年)の男性の喫煙割合は45%でしたが、2016年には32.2%と、約3割減少しています。

日本人の男女別喫煙率の推移

上記グラフには記載していませんが、実は高度経済成長期まっただ中の1960年頃には、男性の喫煙率は80%以上(!)もありました。なので戦後全体で見れば、ピーク時の半分以下にまで落ち込んでいます。女性の喫煙率についてはずっと10%前後で推移しており、飲酒率と同様に大きな変化はありません。

男性喫煙者が減少している理由の一つが、世の中の健康志向です。タバコが身体に悪いことは、あらゆる研究・調査で証明済みであり、反論の余地は一切ありません。近年は日本中で禁煙が推進されており、これまでは普通にタバコを吸えた場所でも禁止されるケースが増えています。

特に東京都内は、オリンピックに合わせて禁煙化が急速に進んでいます。例えば新宿区や千代田区などは路上喫煙が全面的に禁止されており、違反した場合には罰金などが科せられる事もあります。飲食店やタクシー、ネットカフェやゲームセンターなど、タバコを禁止するようになった場所は多く、更に2020年4月からはパチンコ店も全面禁煙化される事が見込まれています。こうした世の中の変化から、しぶしぶ禁煙に踏み切った人は多いと推測されます。

喫煙者が減少している他の理由としては、タバコの度重なる値上げです。タバコはこれまで増税が繰り返されており、昔と比較して価格は大幅に上昇しています。例えばセブンスターは、1986年時は220円でしたが、2018年では500円と、約30年で2倍以上に値上がりしています。上記の通り、日本は景気の悪化で貧困層が増えているため、値上げの影響は大きいです。

セブンスターの価格推移
1986年 220円
1998年 250円
2003年 270円
2006年 300円
2010年 440円
2018年 500円

タバコを吸う事は、自身の癌リスクを高めるうえ、更にタバコを吸わない周囲の人にも、受動喫煙で悪影響を与えるという問題があります。また消防庁のデータによると、2017年に発生した火災原因の1位はタバコの不始末(9.4%)です。

加えて、処理が面倒なゴミが増える、口臭が恐ろしく臭くなる、周りの人に疎まれる・・・など、タバコを吸うデメリットは無限大であり、金をドブに捨てる行為なのだと気付く人が増えきたのです。今や日本では、タバコは情弱・DQNだけが吸う社会になりつつあります。日本中で禁煙化が進むことは、社会として何もデメリットがない、非常に良い流れです。

日本人の飲酒・喫煙率の推移まとめ
・バブル崩壊後の景気悪化で、飲酒する人は減少傾向にある
・世の中の健康志向で、喫煙者も減少している
・女性の飲酒と喫煙率は長期的にほぼ変化が無い

喫煙率はブルーカラー(肉体労働者)ほど高い事は、誰しもが感じていることでしょう。そして実は、先進国よりも発展途上国の方が、喫煙者の割合は多いのです。日本のJTだけでなく、世界中のタバコメーカーが、健康意識の希薄な「情弱」を求めて、途上国に殺到しているのです。

 
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