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【競馬】世界の競走馬・獲得賞金ランキング

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2017年末の有馬記念、演歌歌手=北島三郎が馬主として有名な競走馬・キタサンブラックが引退レースで勝利しました。これでテイエムオペラオーが15年以上も保持していた、競走馬の獲得賞金ランキングの記録を抜いた事でも話題になりました。

しかし実は、テイエムオペラオーは2002年以降、ずっと「日本一」だけでなく「世界一」でしたが、それを抜いたキタサンブラックは世界一にはなっていません。同じく2017年で引退した、アメリカのアロゲート(Arrogate)という馬が、キタサンブラックよりも更に多くの賞金(同時点のレート・1ドル=110円換算で)を獲得したからです。

以下、2018年9月下旬時点での世界の競走馬の獲得賞金ランキングです。なお為替レートは執筆時の平均値〜1米ドル=110円、1豪ドル≡80円、1ユーロ=130円で換算しています。

世界の競走馬の獲得賞金ランキング
順位 競争馬名 生年 獲得賞金 備考
1位 アロゲート 2013年 アメリカ 約19.2億円 ※1742万米ドル
2位 キタサンブラック 2012 日本 18億7684万円  
3位 テイエムオペラオー 1996 日本 18億3518万円  
4位 ジェンティルドンナ 2009 日本 約17億6600万円 海外400万ドル含む
5位 ガンランナー 2013 アメリカ 約17.6億円 ※1598万米ドル
6位 カリフォルニアクローム 2011 アメリカ 約16.2億円 ※1475万米ドル
7位 オルフェーヴル 2008 日本 約16億円 海外189万ユーロ含む
8位 ウィンクス 2011 豪州 約15.7億円 執筆時まだ現役
9位 ブエナビスタ 2006 日本 約15億円 海外100万ドル含む
10位 ディープインパクト 2002 日本 14億5455万円  

ランキング1位のアロゲートは、通算でたったの11戦(7勝)という戦績に過ぎません。20戦12勝だったキタサンブラックや、26戦14勝のテイエムオペラオー、早期引退が惜しまれたディープインパクトの14戦12勝などと比較しても、はるかに少ないレース数です。通算11戦というのは、後述する過去の賞金王ホースと比べてもダントツに少ないです。


※2016年BCクラシック〜アロゲードvsカリフォルニアクローム

アロゲートがトップに立てたのは、BCクラシック・ペガサスワールドカップ・ドバイワールドカップという超高額賞金レース〜特にアメリカのダートホースにとっては別格の賞金が掛かるレースを全て優勝したからです。

★関連ページ;【競馬】世界の高額賞金レースランキング

同様に、ランキング5位にいるガンランナーや、6位のカリフォルニアクロームも、ダートの3大高額賞金レースで好成績を収めたことで荒稼ぎしています。上記リンク先でも述べましたが、世界の競馬界では賞金の高額化が進んでいる一方、日本では賞金が頭打ちになっているので、今後は海外の馬が賞金王争いの中心になる可能性が高そうです。

2019年春にはウィンクスが最多賞金記録を更新か?

そして近々アロゲートを超えそうなのが、当稿執筆時にまだ現役続行中のオーストラリアの牝馬=ウィンクス(Winx)です。2018年9月時点で1957万豪ドルを稼いでいるウィンクスは、この後、オセアニア最大の中距離レース=コックスプレートに挑み、レース史上初の4連覇(!)を目指しています。


※2016年のコックスプレートを8馬身差で圧勝するWinx

ウィンクスは既に7歳なので、おそらく現役は長くても2019年春までと予想されます。しかし重賞27連勝(!)という世界記録更新中であり、競走馬の強さを格付けする「ワールドサラブレッドランキング」でも世界1位をキープしており、衰えは全く見られません。

順当にコックスプレートや来春のクイーンエリザベスS(3連覇が掛かる!)で優勝すれば、500万豪ドル以上を稼ぐ計算になるので、合計の獲得賞金は2500万豪ドル=約20億円となり、アロゲートを超えて世界の競争馬の賞金(女)王に躍り出ます。

過去の賞金王馬たちは沢山走って稼いだ

アロゲートの11戦に対して、ウィンクスは当稿執筆時に37戦も消化しています。男馬は種牡馬となった方が遙かにお金を稼げるので、大レースを勝てば、馬体が元気でも4歳〜早ければ3歳時点でさっさと引退する傾向が強いです。日本のディープインパクトなども、まだまだ走れるのに4歳末で種牡馬となったので、惜しむファンの声が多かったです。

対して牝馬は、1年に1頭しか子供を残せないので、繁殖馬として牡馬ほど稼げないため、現役を長く続ける傾向があります。特にオセアニアは、ウィンクス以前にもサンライン、マカイビーディーヴァ、ブラックキャビアなど、6〜7歳まで現役を続けて連勝・連覇等の記録を作った名牝馬が多いです。

そして過去の賞金世界一だった馬たちの中には、去勢して「セン馬」となり、更に多くのレースを走りまくった名馬も多かったのです。過去の世界賞金ランキング1位になった馬の中から、有名どころをピックアップしてみました。

過去に世界の賞金王となった馬(一部抜粋)
達成した年 馬名 戦績 獲得賞金(米ドル)
1940年 シービスケット(牡) 89戦33勝 437730ドル
1947年 スタイミー(牡) 131戦35勝 918485
1951年 サイテーション(牡) 45戦32勝 1085760
1958年 ラウンドテーブル(牡) 66戦43勝 1749869
1964年 ケルソ(セン) 63戦39勝 1977896
1981年 ジョンヘンリー(セン) 83戦39勝 6597947
1996年 シガー(牡) 33戦19勝 9999815ドル

※出典;競馬世界制覇読本(別冊宝島・1999年発売)。全てアメリカの馬。

映画化で有名になったシービスケットは、生涯で89戦も走っています。三冠馬のサイテーションですら通算45戦も走らされています・・・2018年に同じく米三冠馬となったジャスティファイがたった6戦で引退した(!)のと比較すれば、酷使と非難されそうなレベルですね。

20世紀後半になるにつれ、種牡馬ビジネスがビッグマネー化していった事で、一流馬の出走数は激減していきますが、去勢された「セン馬」は別でした。ジョッキークラブ金杯を5連覇するなど5年連続で米国年度代表馬となったケルソは63戦、史上最強の成り上がり馬()といわれたジョンヘンリーは83戦と、牡馬とは桁違いの多さで出走しまくって稼ぎました。

ジョンヘンリーは、3流血統かつ小柄で見栄えせず、セリの落札値わずか1100ドルという超安馬で、しかも馬主も転々と変わるなど、不遇な生い立ちでした。しかし活躍するにつれ、成り上がりの象徴として絶大な人気を集めたので、日本のオグリキャップにも似た境遇のアイドルホースでした。

ペガサスワールドカップやドバイワールドカップデーなど、世界では高額賞金レースが増えています。ケルソやジョンヘンリーのように、芝ダート問わずこなせて、繁殖入りが無い=走れる限り出走しまくるセン馬の活躍馬が現れれば、10億円台の争いである現在の水準を遙かに超えた、世界の賞金王ホースが出てくるかも知れませんね。

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