日本と世界の統計データ

イギリスの実質GDP成長率の長期推移

HOME > 国と地域 > イギリスの実質GDP成長率の長期推移

EU離脱騒動で揺れる、イギリスの実質GDP成長率の長期推移です。イギリス経済はアメリカと似ており、長年に渡り貿易赤字なのは無論、経常赤字も続いています。

イギリスは第二次世界大戦前よりずっと先進国だったので、GDP成長率は20世紀後半よりずっと3%前後の低水準で推移しています。しかし1970年代半ばに、GDP成長率がマイナス2%を超える酷い状況もありました。英国経済を知る上で、まず大前提として知っておくべき事は・・・

イギリスは一流国ではなく、ポンコツ国家である

という事実です。歴史の教科書で出てくる「大英帝国」や、産業革命の発祥地という事から、イギリスを凄い国だと思っている日本人は少なくないですが、その認識は間違いです。

例えばイギリスは、1976年に一度「財政破綻」を起こし、IMFから金融支援を受けた事があります。「英国病」と言われた戦後の経済停滞と、オイルショックによる物価高騰でスタグフレーション()が起きたためです。北海油田を有し、エネルギーが自給できていたはずなのに、オイルショックで悪影響を受けているのは、英国経済がポンコツである事の証明です。

スタグフレーションとは、本来なら物価が下落する経済停滞期に高インフレが起きる事。単なるデフレ・インフレよりも酷い、最悪の経済状況と言える。

現在のイギリス経済は、バークレイズやHSBCなどの金融業、BPやシェルなどのエネルギー産業、グラクソスミスクラインなどの医薬業界、等のサービス業が中心です。英国は産業革命の発祥地として知られますが、実はモノ作り産業は完全に衰退しきっているのです。

例えば、エリザベス女王の公用車でも使われた高級車メーカー=ジャガーは、今はインドのタタ自動車の傘下になっています。王室御用達の自動車企業が、かつて植民地支配した国の企業に買収されているのですから、イギリスのモノ作り産業はもはや崩壊したといっても過言ではありません。この点からも、やはり一流国家とは言えない事がわかります。

英ポンドはユーロに加盟し損ねたポンコツ通貨!?

もう一つ、イギリス経済の二流っぷりを示す例を挙げると、EUに加盟しながら「ユーロ」への通貨統合は拒否し、自国通貨=ポンドを使い続けていることです。確かに英ポンドは、米ドル・ユーロ・日本円と共に、世界で流通量の多い通貨の上位を担いますが、決して堅剛な通貨ではありません。

ポンドが脆弱である有名なエピソードに、1992年のイングランド銀行(英国の中央銀行)がジョージ・ソロス(ヘッジファンド)との投機合戦に敗れた事があります。実はこの時までは、イギリスも欧州統一通貨=ユーロへの参画案も有力だったのです。しかし、統合の条件であった『1英ポンド=2.95独マルク』の為替レート維持が、ソロス率いるファンドによる通貨売りに負けて困難になり、ユーロへの統合を断念せざるを得なくなったのです。

国の中央銀行が一介のヘッジファンドに叩き負けたという失態は、前述のIMFの支援を仰いだことと、「世界一メシが不味い」というお笑いネタと共に、イギリスが末代まで語り継がれる汚点であり、ポンコツ国家である事を証明しているといえます。「料理もろくに作れないイギリスで産業革命が起きたのは単なる偶然だ」と自虐する英国人もいる位です。

イギリスの実質GDP成長率の長期推移
・英国の成長率は平均3%前後で推移している
・アメリカ同様、ずっと貿易赤字&経常赤字を続けている
・財政破綻や通貨ユーロへの統合失敗など、歴史的失態も多い

2005年、イギリスが誇る世界的サッカークラブだったマンチェスター・ユナイテッドが、アメリカ人の大富豪=マルコム・グレーザーに買収された時、英国内では批判的な反応が多かったですが「我が国の体たらくを象徴している」という諦めの口コミも少なくなかったと言います。イギリスを強国として神格化しているのは、実は世界でも日本人くらいしか居ないのです。

EU離脱なのか、それとも国民投票を破棄して留まるのか、イギリスの動向は確かに世界経済〜特に金融マーケットには大きな影響を与えるでしょう。しかし長期的には、英国のような老害国家がどうなろうと、地球規模では大した問題ではありません。特に日本企業は、地理的に遠くしかもポンコツである英国など相手にせず、成長著しいアジア経済との連携を強化すべきです。

※当ページへのリンクはご自由にどうぞ。但し画像・文章の転記や複製は禁止です。引用される際は当ページへリンクして下さい。
Copyright (C) 2017 https://toukeidata.com/ All Rights Reserved.