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中国の長期金利(国債の利回り)の推移

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もはや誰もそんな意識はないでしょうが、中国という国は名目上は社会主義国家です。しかしケ 小平の改革開放により、株式市場や債券市場も発展することになり、政治こそ共産党の独裁体制ですが、経済は完全に資本主義国家になったと言えます。

そんな中国にも、日本やアメリカと同様に、国債が売買されるマーケットが存在し、長期金利(10年物国債の利回り)の数値も算出されています。下記のグラフは、中国の長期金利の「長期に渡る」推移を表したものです。


source: tradingeconomics.com

2005年以降、中国の長期金利は2.5%から5%までの狭いレンジ(ボックス相場)な推移となっています。2008年のリーマンショック時には、日米など先進国と同様に利下げにより長期債の利回りが暴落しており、実は基本的に先進国の値動きと連動しやすい性質があります。

中国の通貨=人民元は、ドルペッグ(為替介入によりレートを一定に保つ)された通貨であることも、先進国の値動きと相関する理由の一つです。

人民元は、リーマンショック前に一度切り上げ(為替レートの上昇)が行われたものの、2015年には再び切り下げられるなど、中国政府の為替政策は一貫しません。中国国家主席の習近平は、外圧など無視で国内経済を優先させる独裁者なので、今後も人民元の米ドルへのペッグレートは流動的であると予想されます。

日本からも人民元債券に投資できるが、デメリットは多い

実は中国の債券市場(地方債などを含む)は2017年現在で約700兆元(1200兆円)規模に達しています。これは日本の約1500兆円に迫る規模で、このままの推移だと2020年代前半には逆転するだろうと予測されています。中国は債券マーケットでも、アメリカに次ぐ巨大市場になろうとしているのです。

ちなみに人民元債券には、日本からも投資することが可能です。楽天証券など一部の金融機関では、人民元の既発債も販売されており、年3%程度の利息が付くようです。

中国国債の世界的な評価は、例えば格付け機関ではムーディーズはA1、スタンダード&プアーズはAA-、などと日本国債と同程度の高い格付けを与えています。日本は国債残高の対GDP比200%超と世界最悪ですが、全額が自国通貨建てなので、理論上デフォルトの可能性はゼロです(通貨発行で返済できる)。そんな日本国債と同レベルの格付けを与えられているのですから、世界での中国という国の評価は、日本人が思っているより遙かに高いのです。

ただし人民元債券は、円・元の為替レート変動に影響される事は言うまでもなく、売買時の為替スプレッドが大きいこと、満期まで保有すると税金が極めて不利な「雑所得」扱いになるなど、何かとデメリットが多い商品なので注意が必要です。

 
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