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ガンダム関連商品の市場規模推移

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1979年に放送がスタートしたアニメ『機動戦士ガンダム』。その人気は40年近く経った今も衰えておらず、続編や外伝作品が何作も作られています。ガンダム関連玩具の売上げも好調で、版権を持つバンダイナムコ社の経営に大きく貢献しています。

以下のグラフは、近年のガンダム関連商品の年度別の市場規模(関連商品の売上)を表したものです。近年のガンダム関連の市場規模が700〜800億円で推移しています。

※出典;バンダイナムコ社公式IR内の資料より抜粋。作品全体は、ゲームや映像作品なども含めたガンダム作品全体の売上です。

このグラフを見ると、玩具売上は毎年非常に安定に推移している事が分かります。中でも、2009、2010、2012年度はテレビシリーズが一切放送されていなかったにも関わらず、150億円前後の売上げを維持しています。

比較対象として、同じくバンダイが玩具を販売している特撮ヒーロー番組「スーパー戦隊シリーズ(ゴレンジャー等)」は毎年新作が放送されていますが、玩具売上げは概ね100億円強です。つまりガンダムは、アニメが放送されていない年でも、スーパー戦隊よりずっと高い売上げを記録しているのです。ガンダム玩具、特にガンプラは過去作のキャラクター(モビルスーツ)の人気が高く、しかもそれらの主要購買層はリアルタイムで見ていた中高年層ですから、お金も十分持っています。このような理由で、ガンダム関連作品はアニメが放送中かどうかに関わらず、常に高い売上げを残せているのです。

なお、2013年頃から玩具売上げが右肩上がりになっていますが、これは当時放送されていた「ガンダムビルドファイターズ」の影響が大きいです。ビルドファイターズは、従来のガンダムシリーズのような戦争がテーマではなく、ガンプラを使って遠隔操作で戦う架空の競技「ガンプラバトル」を描いた作品です。作中には数多くのガンプラが登場し、様々にアレンジ(改造)された機体も活躍した事で、ガンプラへの注目度が格段に高くなったと言われています。近年は海外展開も上手く推移している事も、人気の理由の一つです。

また上記グラフの範囲外ですが、ガンダムシリーズのターニングポイントの一つとして、2002年に放送されたガンダムSEEDが挙げられます。SEEDは従来のガンダムシリーズとは若干かけ離れたキャラクターデザインが特徴であり、主要登場人物の多くがイケメン&美女に描写されています。その結果、これまでガンダムシリーズには少なかった女性ファンが多く生まれ、ユーザー層が大きく広がったのです。

女性はガンプラに興味は示しませんが、キャラクターグッズやコスプレ衣装などの売上げは格段に伸びました。特に映像ソフトの売上げは顕著で、一般的なアニメのDVDは1巻=1万枚売れれば大ヒットと言われる中で、SEEDは1巻平均10万枚以上を販売しています。オールドファンからは「腐女子に媚びすぎだ!」などと嫌悪されていますが、SEEDで女性ファンを上手に獲得した事も、ガンダムシリーズの市場規模拡大に繋がったと言えるでしょう。

打ち切りになったガンダムの版権をバンダイが取得

初代ガンダムは、それまでのロボットアニメのような単純な善悪の話ではなく、戦争を通じた政治闘争や複雑な人間模様が描かれた、子供には難解なストーリーでした。そのせいもあって、初回放送時にあまり人気が出ず、全52話の予定が43話で打ち切られています。ガンダム人気がブレイクしたのは、中学〜高校生にまで口コミが広がった再放送以降の事です。

ガンダムの初回放送時の平均視聴率はわずか5.3%。しかし再放送1回目平均視聴率13.1%→再放送2回目17.9%→3回目19.4%と回を追う毎に上昇していきました。

初回放送時のガンダムのスポンサーはバンダイではなく、クローバーという玩具会社でした(現在は倒産しています)。当時の玩具業界では、アニメの設定とは異なった玩具が発売される事はわりと普通でした。実際、クローバーが発売したガンダム玩具は、本来ガンダムが装備していないオノやミサイルなどオリジナルな武器が多数付属しています。

しかし、アニメのガンダムのメインターゲットは小学校高学年〜中学生程度の想定であり、こうした原作に沿わない幼稚な玩具に、あまり興味を示さなかったのです。

そんな中、ガンダムの放送終了間際に、バンダイが版権の取得に名乗りを上げます。当時のバンダイは「宇宙戦艦ヤマト」のプラモデルが高い人気を獲得しており、ガンダムのプラモ化にも大きなチャンスがあると考えたのです。そのバンダイの目論見は大当たりし、番組終了直前のガンダムの玩具売上げは右肩上がりになったそうです。その後、アニメの再放送で本格的なブームが到来し、ガンダムというキャラクターブランドが確立される事になったのです。

ガンダム関連商品の市場規模推移まとめ
・アニメの放送がない年でも、関連商品の市場規模は衰えない
・ガンダムビルドファイターズはガンプラ人気に貢献した
・ガンダムSEEDで女性ファン(腐女子?)の獲得にも成功した
・バンダイのガンダム版権獲得は、同社にとって最高の買収だった

人気がなくて打ち切られたアニメが、40年近く経った今でも約800億円ものグッズ売上げを記録している事は、前代未聞です。そして熱狂的な中高年層のファンを抱えているので、人気が急減するという可能性も低いです。ガンダムの版権は、バンダイにとって最高の買い物だったのは間違いないですね。

 
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