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4大マンガ雑誌(少年ジャンプなど)の発行部数推移

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日本を代表する週刊少年漫画雑誌、ジャンプ/マガジン/サンデー/チャンピオンの4誌は4大少年誌と呼ばれています。近年はネットの普及や電子書籍の登場などもあり、紙媒体としての書籍の売り上げは大きく減少しています。そんな中で、4大少年マンガ誌はどれだけの売り上げを残せているのか、以下はその推移を比較したグラフです。

4大少年雑誌(ジャンプなど)の発行部数推移グラフ

発行部数グラフの定義
・ジャンプ; 1996年まで出版社発表(最高値)、97年以降印刷証明付平均発行部数(年間平均値)
・マガジン; 2009〜 印刷証明付平均発行部数(年間平均値)
・サンデー; 2009〜 印刷証明付平均発行部数(年間平均値)
・チャンピオン; 全国出版協会発行の「出版指標 年報」掲載の推定値

まず大きく目を引くのが、1990年代前半の週刊少年ジャンプの驚異的な数字です。特に、1995年の3ー4合併号で達成した653万部という発行部数はギネスにも登録されており、この記録は未だ破られていません。当時のジャンプには、ドラゴンボールやスラムダンクなど、爆発的な人気を誇るマンガがいくつも連載されており、他誌を寄せ付けない勢いがありました。

ですが、1995年25号でドラゴンボールの連載が終了した事で、ジャンプの人気は急落します。翌年にはスラムダンクも連載終了となり、発行部数は1年で200万部以上減少するという結果に陥ったのです。この落ち込み具合から、ドラゴンボールやスラムダンクの人気が如何に高かったかという事が窺えます(余談・この頃は冨樫先生の休載癖はまだ無い)。ただし、ジャンプの発行部数は1997年より印刷証明付平均発行部数になっているので、実際にはそれ以前から売り上げは減少していたという説もあります。

ジャンプが没落していた一方、人気が上昇傾向にあったのが週刊少年マガジンです。1992年より連載が始まった金田一少年の事件簿、1996年にスタートしたGTOなど数多くの漫画が人気を獲得し、1997年にマガジンはジャンプを抜いて少年誌発行部数1位の座に躍り出たのです。

ジャンプの人気漫画は高確率でアニメ化されます。しかし、アニメのメインターゲットは子供であり、大人にまで口コミが広まる事は少ないです。それに対し、マガジンの漫画はテレビドラマ化される頻度が高いです。実際、金田一少年やGTOはテレビドラマ化され、大きなヒットを記録しています。ドラマは幅広い年齢層に視聴される可能性が高く、それが漫画の人気の後押しとなった事が、マガジンの販売が伸びた大きな理由です。

そんなマガジンも、2003年頃には再びジャンプに首位の座を明け渡す結果となりました。これは、2001〜2002年にかけて、金田一少年やGTOの連載が相次いで終了した事、またジャンプではワンピースやナルトといったヒット作が誕生して勢いを盛り返した事などが理由と考えられます。以後、ジャンプは2017年現在まで少年マンガ首位の座を維持し続けています。

ジャンプ一強とマガジンその他

ところで、4大少年マンガ誌と称されながらも、サンデーやチャンピオンの販売数は、ジャンプやマガジンには遠く及びません。週刊少年サンデーの発行部数は最盛期の2000年頃でも200万部で、落ち込み著しい2016年のジャンプ(214万部)にすら及んでいない有様です。

※上記グラフには記されていませんが、1983年の228万部がサンデーの最高記録との事です。

少年チャンピオンに至っては、ずっと100万部以下の低い水準が続いており、人気はジャンプとは比較にもなりません。しかも他の3誌が印刷証明付発行部数であるのに対し、チャンピオンは全国出版協会発行が発表した推定値なので、実際の数字は更に低いという口コミ情報もあります。

実はチャンピオンは、1970年代後半にドカベンやブラックジャックなどがヒットした事で、発行部数が200万部を突破していた事もありました。その結果、一時的に少年誌のトップに立ったのですが、ピークは一瞬で過ぎ去り、その後はずっと低迷が続いています。一部では、少年漫画を4大誌ではなく、チャンピオンを除いた3大誌として扱う事もあり、存在すら忘れられつつあるというのが実情です。

全体的に見ると、近年はどの雑誌も右肩下がりで、発行部数はピーク時の3分の1程度に落ち込んでいます。ギネス登録もされたジャンプも、今では200万部程度にまで落ち込んでいる位です。とはいえ、実は減少割合ではジャンプはまだマシな方です。ピーク時だった1995年時、4大誌におけるジャンプの割合は50%でした。一方、2015年のジャンプは58%です。つまり、ジャンプの落ち込み以上に、他誌の落ち込みは激しいという事です。

但し、単にマンガ雑誌の低迷だと決めつけるのは早計です。日本は1995年頃から少子化が続いているため、分母となる読者数が減少すれば雑誌の売り上げが落ち込むのも当然です。また、4大誌に限らず、近年は雑誌全体の売り上げが落ち込んでいます。1995年の雑誌市場規模(書籍は除く)は1兆5426億円でしたが、2015年は7801億円と、この20年間でおよそ半分になっています。ですから4大誌の売り上げが落ち込んでいる理由は、雑誌自体の人気が低下している事だけが原因ではなく、少子化や日本人の雑誌離れというマクロ経済の影響も大きいと考えられます。

4大少年雑誌の発行部数推移まとめ
・1995年のジャンプは発行部数653万部を記録してギネス登録された
・1990年代後半には一時的にマガジンがジャンプを追い抜いた
・近年は4大誌全てが右肩下がりだが、少子化の影響も大きな原因

余談ですが、子供向けの月刊漫画雑誌としては、コロコロコミックが最も高い人気を誇っています。そんなコロコロも近年は売り上げが低迷し、発行部数は60〜70万部程度に落ち込んでいました。しかし、2014年にゲーム「妖怪ウォッチ」が爆発的なヒットを記録した事で、同作の漫画を連載しているコロコロコミックの売り上げも大きく上昇し、発行部数は100万部を突破しました。「ワンピースが連載終了したらジャンプは破滅する」などと揶揄されますが、魅力的な漫画があれば、少子化でも雑誌の売り上げを伸ばす事は出来るのかもしれません。

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