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アメリカの長期金利(国債の利回り)の推移

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20世紀前半より、アメリカ合衆国は世界経済の覇者であり続けています。2008年のリーマンショック以降も、いち早く大胆な金融緩和を行い、経済危機の震源地でありながら最も早く経済を回復させています。そして2015年末よりゼロ金利政策を解除し、利上げの局面に入っています。

以下は、リーマンショック前からのアメリカの長期金利(10年物国債の利回り)の推移を表したグラフです。金融危機が起きる直前まで、アメリカでは不動産バブル(サブプライムローン問題)が起きていたので、その抑制として政策金利が引き上げ続けられており、長期金利も5%前後の水準がありました。


source: tradingeconomics.com

日本では2017年現在、日銀のマイナス金利政策により国債の利回りもほぼゼロです。個人向け国債の利率も限りなくゼロであり、投資するに値しないゴミ商品と化しています。ゆえに5%も金利があったアメリカを羨ましく思う人も居るでしょう。しかし、歴史的に見れば近年はアメリカも超低金利時代で、過去にはもっと高金利な状態もありました。

1980年頃、米国の長期金利が10%を越えていた!

以下は、1920年代からのアメリカの長期金利推移グラフです。1929年の世界大恐慌が起こる前からの、超長期版です。1970年頃から80年代前半に掛けて、アメリカでは長期金利が10%を越える時期がありました。二度のオイルショックによる物価上昇を抑制するため、中央銀行(FRB)が政策金利を上げ続けたからです。


source: tradingeconomics.com

この高金利状態は、物価高騰の抑制には意味がありましたが、海外からの投資マネーの流入という副産物も生みました。結果、為替相場での米ドル高を招き、アメリカ経済は停滞期に入ります。その解消として行われたのが、1985年のプラザ合意(ドル安誘導への協調介入)でした。自国経済の不振を日本やドイツになすり付け、世界にアメリカを助けさせると言う、ジャイアニズムの極地、国際金融史に永遠に残り続ける暴挙でした。

※注;ジャイアニズムとは、ドラえもんのガキ大将キャラ=ジャイアンの「お前のものは俺のもの〜」のフレーズに代表される、極度の横暴さを比喩した造語。

このプラザ合意で円高ドル安が進み、日本の輸出産業にブレーキが掛かると同時に、マネーが国内にだぶつく事により、80年代後半の日本のバブル景気の原因になりました。

リーマンショック後のマイナス金利の世界も異常ですが、先進国の長期金利が10%を越えるような状態もまた異常なのです。必ず何処かに火種を抱え、新たな金融危機の元凶となります。長期金利は3〜5%程度の水準が最も正常で、問題が起きにくい状態です。

アメリカの長期金利(国債の利回り)の推移まとめ
・アメリカは世界経済の中心であり、日本への影響力も大きい
・米国の長期金利は、低すぎても高すぎても良くない
・金利上昇 ⇒為替のドル高 ⇒トランプ大統領の暴走!に注意

当稿執筆時(2017年夏)、アメリカは世界で数少ない「利上げ局面にある国」です。日本やヨーロッパ、中国などの新興国も経済は好調とは言えません。そんな中でアメリカの金利が上昇していけば、世界中から投資マネーが米国に集まり、為替の極度なドル高も懸念されます。

アメリカのトランプ大統領は、閣僚が次々と辞任するなどの問題で支持率が低迷しています。ちなみに1985年のプラザ合意時、アメリカ大統領は俳優出身でポピュリストと揶揄されていたロナルド・レーガンでした。トランプはレーガンをも上回る最強のポピュリストですから、あまりにドル高が進めば、再び世界に協調介入を迫ってくる事もあるかも知れません。 月並みですが、トランプが暴走しないか注意が必要です。

 
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