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飛行機事故が起きる確率

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世の中には飛行機嫌いの人は少なくありません。「事故が起きたら確実に死ぬ」という恐怖を訴える人や、「何で重たい金属の塊が空に浮くのか?」と感覚的に気持ち悪いから乗れないという人まで、理由は様々です。

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1985年に日本で起きた日航機墜落事故は、俳優の坂本九氏をはじめ、520名もの犠牲者を出す日本最悪の飛行機事故となりました。40代以上の人では「この事故がトラウマで飛行機が怖くなった」という口コミも多いです。

確かに飛行機は、事故が起きた際の死亡率はほぼ100%ですが、実際は飛行機の事故発生率は極めて低く「実は最も安全な乗り物」だという専門家も多いです。アメリカの国家運輸安全委員会 (NTSB) の行った調査によると、飛行機で死亡事故に遭遇する確率は0.0009%=10万分の1未満との統計です。アメリカの航空会社だけだと、確率は更に低い(0.000034%)そうです。

事実、日本でも1985年の日航機事故の以降は、民間機の大規模な墜落事故は1度も起きていません。つまり、過去30年以上にわたって、日本での飛行機事故発生率は0%です。飛行機の墜落が起きると、それが日本人が無関係の海外の事故であれ、大々的に報道されるので印象に残りやすい〜という心理的バイアスが、恐怖心を助長しているのです。

飛行機事故が発生するのは、離陸および着陸の時が最も多いです。離陸後の3分と着陸前の8分の合計11分は、事故の多さから「クリティカル・イレブン・ミニッツ」(魔の11分)と呼ばれています。ゆえに、飛行機事故に遭う確率を低くする裏技として、乗り継ぎが少ない便を選ぶという方法も考えられます。可能な限り直行便を選んでおけば、離着陸の回数が少なくなるので、その分事故のリスクを軽減できるのです。

こうした飛行機事故と比較すると、自動車の交通事故で亡くなる確率の方がずっと高いです。2017年の日本の交通事故死者(事故発生から24時間以内に死亡)の数はおよそ3700人です。日本の人口が1億2千万人程度なので、1年間で交通事故で死亡する割合は約0.003%、3万3千人に1人と算出できます。


※ビーチすれすれを離着陸する事で有名なプリンセス・ジュリアナ国際空港

スポーツ選手の中には、野球の江川卓やサッカーのデニス・ベルカンプのように「怖いから絶対に飛行機に乗らない」という超一流選手も居ました。上記のように、飛行機事故に合う可能性は極めて低く、むしろ陸路や海路で移動する方がリスクが高いので、時間的負担やチームメイトを白けさせる事も含め、明らかに損をしていたと言わざるを得ません。

※デニス・ベルカンプの飛行機嫌いは深刻で、オランダ代表として臨む1994年のワールドカップ米国大会に、一人だけ船で行ったという逸話があります。クラブチームでも海外遠征(チャンピオンズリーグの試合)に帯同できない事も多く、才能を生かし切れなかった勿体ない選手でした。

これは我々一般人でも同じです。飛行機が嫌だからと、旅行や出張などを制限していれば、人生の様々なチャンスを逃して勿体ない事になります。

新興国やLCCだからといって事故率は変わらない

ドイツの調査機関JACDECが発表した、2017年の世界の航空会社の安全度ランキングでは、10位がJAL、11がANAと、日本の大手2社が上位にいます。1位は香港のキャセイパシフィック航空で、その他の上位にもアジアや中東の新興国の航空会社が多くランクインしています。一方で、52位は中国の廈門航空、60位(最下位)は香港のチャイナエアラインと、新興国でも評価の低い航空会社もあります。このように、先進国か新興国かという事だけで、安全性の優劣に法則がある訳では無さそうです。

航空会社安全度ランキング2017(JACDEC)
順位 航空会社 国名
1 キャセイパシフィック航空 中国(香港)
2 ニュージーランド航空 ニュージーランド
3 海南航空 中国
4 カタール航空 カタール
5 KLMオランダ航空 オランダ
6 エバー航空 台湾
7 エミレーツ航空 UAE
8 エティハド航空 UAE
9 カンタス航空 オーストラリア
10 JAL 日本

近年では、普通の航空会社よりも運賃の安いLCC(格安航空会社)が人気です。LCCは価格が安い分、安全性に問題があるのではと心配する口コミも聞かれますが、実際にはLCCだから事故の確率が特別高くなる・・・という統計はありません。LCCは機内食や各種サービスを削ってコストを抑えているのであり、安全性を軽視して安くしているわけではありません。

とはいえ、LCCは少しでも収益性を上げるために、運行スケジュールがタイトになっています。そのため、パイロットの負担が大きい、整備点検に掛けられる時間が短いなど、色々と問題が指摘されているのも事実です。

飛行機事故が起きる確率まとめ
・飛行機は事故発生率が極めて低く、最も安全な乗り物
・事故は離陸&着陸時が大半なので、乗り継ぎ無しの便が安全
・中国など新興国や、LCCであっても、事故の確率が高いとも限らない

ちなみに、日本の年末ジャンボ宝くじの1等7億円が当選する確率は2千万分の1(0.000005%)で、飛行機事故に遭う確率よりも更に低いです。一攫千金の夢を見て宝くじを購入する行為が、如何に馬鹿げているかが分かります。「宝くじは愚か者に科せられた税金」という口コミは、全くもって正しいのです。

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