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プライベートブランド商品の市場規模

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近年、スーパーやコンビニなどにプライベートブランド(PB)の商品が並ぶ事が増えました。プライベートブランドとは、小売店が企画した独自のブランド商品の事です(製造メーカーによる商品はナショナルブランドと呼ばれます)。

プライベートブランドは価格が安く、また商品のクオリティも結構高い事から、顧客の評判も概ね良好です。そのため、現在では多くの企業がプライベートブランドの開発に取り組んでいます。以下に2015年のプライベートブランド市場規模を表したグラフを作りました。

プライベートブランドの市場規模

※データ出典;書籍「日経業界地図・2017年版」。

日本のプライベートブランドの市場規模は約2兆7千億円で、セブンプレミアムとトップバリュー(イオン)の2強が約70%を占めています。

トップは、1兆円を超えているセブン&アイHDのセブンプレミアムです。コンビニのセブンイレブンをはじめ、イトーヨーカ堂やそごう西武などでも販売されています。プライベートブランド商品は製造元を明記しないケースが多いですが、セブンプレミアムはこれを記載する事で、品質面でも客が安心して買えるというアピールをしています。

セブンプレミアムは、後述するトップバリューと常に比較されますが「値段が高いが品質が良い」という口コミが多いです。PB商品=安いというイメージとはかけ離れたマーケティング戦略です。市場規模が最大なのは、商品単価が高い事も大きな理由ですが、品質が支持されているからこそ売れているのだとも言えます。

市場規模2位のイオンは、プライベートブランドのトップバリュが有名で、イオンモールを始めダイエーやマックスバリュなどでも購入出来ます。トップバリュは、PB商品=低価格というイメージを消費者に認知させた、業界の草分け的存在です。

イオンはスーパー業界の最大手なので、トップバリュ商品は全国的に数多く販売されていますが、食品類に関しては「味が不味い」という口コミがネットでは多く見受けられます。味の不満だけなら個人差で済まされるでしょうが、アイスバーからアレルギー物質が検出されたり、塩ラーメンに発ガン性物質が含まれていた事が発覚するなど、健康面でも不安を感じる不祥事が発覚しています。また韓国産の食材を多く使っている事で、ネット右翼から叩かれる事も多いです。

3位はユニー・ファミリーマートHDです。スタイルワン、プライムワン、ファミリーマートコレクションなど複数のプライベートブランドを有しているのが特徴です。ファミリーマートコレクションは、お菓子やスイーツなど、女性をメインターゲットにした展開がされています。ポテトチップ、ミニクッキー、ピックアップ(スナック菓子)などが、100円という安さで購入出来ます。但し、二強との規模の差は決定的で、知名度も劣ります。

プライベートブランド商品が安い理由

プライベートブランドは、ナショナルブランドと比較して「価格が安い」と消費者に認知されています。セブンプレミアムは例外的に高価な商品もありますが、基本的に大半の商品が、メーカーのブランド品より1〜3割ほど安い事が多いです。

PB商品の値段が安い理由の一つが、販促費や宣伝広告費が必要ない点です。ナショナルブランドの場合、製造メーカーは小売店に納入してもらうため、そして他社の商品よりも良い売り場を確保するための販促費用(営業マンのコスト等)が掛かります。

また消費者に認知されるためのCMなどのコストも必要です。その費用は商品価格に上乗せされるので、小売価格は高くなります。それに対し、プライベートブランドは小売店独自の商品なので、販促の費用を一切掛けなくても、納入数や陳列場所など自由に決める事が出来るのです。

その他のPB商品の値段が安い理由としては、流通コストが低い点もあります。スーパーやコンビニは元々独自の流通網が整備されているので、それを利用する事で、直接店舗に安く商品を届けられるのです。卸売り業者を介さないので、中間マージンが発生する事もありません。

また、商品の製造コスト自体が安い事も、プライベートブランドが安い理由です。例えばイオンでは、インスタント食品の大手の日清に委託して、プライベートブランドのカップ麺を製造しています。イオンにとっては、自社で製造工場を持つ必要がないので、設備投資や運用のコストが掛かりません。そのうえ、日清はカップ麺開発のノウハウを持っているので、味のクオリティは保証されています。

日清にとっては、競合商品であるイオンのプライベートブランドの製造を請け負う事は、一見デメリットに思いますが、製造した商品はイオンが全て買い取る契約になっているので、商品が売れ残って赤字になるリスクはありません。イオン側も、綿密なデータ管理で需要を予測して商品を発注するので、こちらも在庫リスクはほぼありません。つまり、委託する側のイオンも、委託される側の日清も、どちらもwin-winの関係にあると言えます。

プライベートブランドの市場規模まとめ
・プライベートブランドの売上は年間2兆7千億円
・セブンプレミアムとトップバリュー(イオン)が2強
・PB商品が安い理由は、販促や宣伝広告費や流通コストが低いから

現在、スーパーやコンビニはプライベートブランドに注力しています。しかし多くのナショナルブランドは、プライベートブランドに対抗すべく、安価な商品開発に乗り出しています。日本人はブランド志向が強く、商品価格が同程度ならば、プライベートブランドよりもナショナルブランドの方が売れる傾向にあります。今後は、プライベートブランドとナショナルブランドの顧客の奪い合いがより激しくなると思われます。

 
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