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大学の学費(授業料)の推移

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私立大学の始まりは、1858年に福沢諭吉が開設した慶応義塾(蘭学塾)です。そして大学で学ぶ際には授業料を支払う、という仕組みを作ったのも福沢諭吉です。それまでの学校(寺子屋)でも、学問を教える事で対価をもらうという制度はありましたが、これはお坊さんへの心付けに近いもので、決まった金額などはありませんでした。福沢諭吉は、誰もが等しく教育を受けられるように、学費の制度を作ったのです。

そんなルーツを持つ日本の大学は近年、学費が年々値上がりを続けています。以下の表は、東京大学(国公立)・私立大学文系・私立大学理系の年間授業料の推移です。

大学の学費の推移
東大 私立文系 私立理系
1970年 1.2万円 7.6万円 -
1975 3.6 15.3 22.0万円
1980 18.0 30.4 40.8
1985 25.2 36.9 52.2
1990 34.0 46.8 67.8
1995 44.7 58.0 87.2
2000 47.9 66.0 92.2
2005 52.1 69.4 98.6

ソース:物価の文化史事典(展望社)

上記表では「東大」を記しましたが、国公立大学の学費は基本的にどの学校でも同じです。

1975年の東大の学費は3.6万円でしたが、2005年では52.1万円と、14倍まで膨れ上がっています。物価変動考慮した場合でも、1975年の3.6万円は現在の7万円程度なので、年間の授業料は約2倍に値上がりしているのです。

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そして私立大学でも同様に高騰しており、文系は15万円からおよそ70万円、理系は22万円から100万円近くになっています。

近年は少子化の影響で「大学全入時代」とも揶揄されており、定員より入学希望者が下回るケースが増えています。にも関わらず大学側は、合格枠を縮小せずに学費だけ値上げして凌ごうとしているので、余計に学力レベルを下げる悪循環に陥っているのです。

奨学金を借りてまでFラン大学に行くのは愚行!

実は近年、大学への「進学率」は上がっていますが、少子化の影響で子供の数が減っているため「進学数」では大幅な減少となっているのです。そのため、学費を値上げしても経営状態は悪化している大学が多いです。

東大や京大、早稲田や慶応のような、一流大学・名門大学は入学希望者も絶えないので何の問題ないです。しかし偏差値30台のいわゆる「Fラン大学」は無論、50前後の平凡な二流大学でも、多くが赤字経営であり、二極化が進んでいます。少子化で学生が減少しているのに、合格枠を絞らないため、中堅以下の大学はどんどん偏差値が下がる(=学生の質が下がる)という負のスパイラルに陥っています。

また近年では、学費の高騰のせいで奨学金制度を利用して大学に通う学生も多くなっています。しかし日本の奨学金制度は、基本的に単なる借金(学資ローン)に過ぎず、将来に利子を付けて返済する義務があります。

そんな事を知らず、奨学金の返済ができずに自己破産する人も急増し、社会問題になっています。Fラン大学を卒業しても何のPRにもならないので、就職活動に失敗し、ニート化する学生も増えています。そうなるともう、奨学金の返済は不可能です。

Fラン大学にしか行けない学力なら、奨学金に頼って無理に大学に行かず「高卒で就職した方がマシだ」という口コミも増えています。低偏差値の大学に入ることは、将来に何のプラスにもならない、コスパ最悪の愚行なのです。

大学の学費(授業料)の推移まとめ
・大学の学費は値上がり傾向にある
・少子化で進学者が減少しているため、多くの大学は赤字
・奨学金を返済できない自己破産者の増加が社会問題化している

ちなみに医学系〜特に私大の医学部は飛び抜けて学費が高額で、6年間の総額で2千万円以上、高い学校(低偏差値)だと約4千万円が必要です。これだけ高額な授業料だと、親が普通のサラリーマン家庭では進学は困難です。大学の医学部に入るには、偏差値65以上の学力が必要ですが、それ以外にも親が裕福で高額な学費を支払える家庭である事も必要なのです。

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