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消費者物価指数とは、ある年を基準としてその後、商品やサービスなどの価格がどれだけ上昇したかを表す指標です。消費者物価指数の上昇は、経済がインフレである事を意味しており、逆に下がっていればデフレに陥っている訳です。
以下の表は、1900年以降の日本の消費者物価指数の推移を表したものです。左側は1900年を基準値「1」とし、右側は戦後の1950年を基準の「100」としています。
消費者物価指数の長期推移 | |||
年 | 1900年基準 | 1950年基準 | 備考 |
1900年 | 1.00 | - | (明治時代) |
1905 | 1.13 | - | |
1910 | 1.19 | - | (大正時代) |
1915 | 1.20 | - | |
1920 | 2.97 | - | |
1925 | 2.71 | - | (昭和時代) |
1930 | 2.15 | - | 1929年の世界大恐慌でデフレ |
1938 | 2.50 | - | |
1938〜45年 | (戦時中につきデータ無し) | ||
1946 | 99.5 | - | 戦後処理で急激なインフレ |
1950 | 475.5 | 100.0 | |
1955 | 650.3 | 136.7 | |
1960 | 707.5 | 148.7 | 高度経済成長期 |
1965 | 953.9 | 200.6 | |
1970 | 1246.2 | 262.0 | |
1975 | 2135.8 | 449.1 | オイルショックでインフレ |
1980 | 2947.0 | 619.7 | |
1985 | 3374.2 | 709.6 | |
1990 | 3609.3 | 759.0 | バブル景気のピーク |
1995 | 3860.1 | 811.7 | |
2000 | 3918.9 | 824.1 | 長いデフレ期 |
2005 | 3831.9 | 805.8 | |
2010 | 3816.0 | 802.4 | |
2015年 | 3954.4 | 831.5 | アベノミクスでデフレ止まる |
※ソース:物価の文化史事典(展望社)
1900年から1990年代後半まで、日本の消費者物価指数は年々上昇を続けています。特に、1950年以降と1970年代は物価が大幅に上昇しています。
1950年頃の物価が上昇している理由は、第二次世界大戦の戦後処理の影響です。1939〜1945年に掛けて起こった第二次世界大戦の直後は、日本中で物不足に陥った事と、戦時中の国債乱増による貨幣価値の下落で、急激なインフレが進みました。1946年の消費者物価指数が99.5で、1950年が475.5ですので、4年で5倍近い上昇という事になります。
そのうえ、1955年頃からの日本は高度経済成長期に突入し、国全体の景気が好調に推移した事で、消費者物価指数の上昇が加速していきます。1964年の東京オリンピック開催で、カラーテレビの販売数が伸びたり、東海道新幹線の開通や首都高速のインフラが整うなど、日本に大きな経済効果をもたらした事も物価上昇に拍車を掛けました。
そして、1970年代の物価上昇はオイルショックの影響が大きいです。1973年に発生した、第四次中東戦争による原油価格の高騰がいわゆる「オイルショック」で、世界的に物価が高騰しました。日本でも、国民が物不足に対して過度な不安を抱いた事で、トイレットペーパー・石鹸・洗剤などの原油製品に留まらず、砂糖・醤油など原油と関係ないものまで買い占めが起こり、激しい物価の上昇を招いたのです。
二度のオイルショックが過ぎた後の1980年代、日本はいわゆるバブル経済の絶頂期を迎えます。、株価や不動産が高騰し、物価も大きく上昇しました。しかし、バブルが弾けた後の1990年代半ばから、消費者物価指数の推移はほぼ横ばいが続きます。それどころか、2000年以降は若干減少傾向〜つまり物価が下がる「デフレ」に陥っています。
世の中には「デフレの方が物を安く買えて良い」と考える人も居るでしょう。しかしデフレは、確実に景気を悪化させる最悪な経済状況なのです。
デフレとは、お金の価値が徐々に上がる事を意味しており、つまり今日の1万円よりも、明日の1万円の方が価値が高いのです。そのため、人々は商品の購入をなるべく控えるようになり、社会全体で物が売れなくなります。こうして会社の売上が悪化すると、従業員の給料も増えず、消費減退に更に拍車が掛る「デフレスパイラル」に陥るのです。90年代後半以降の日本経済は、まさにデフレスパイラルそのものでした。
一方でインフレは、人々の消費が旺盛になるので、経済成長に繋がります。インフレはお金の価値は下がる事を意味し、極論すれば「今日1万円で買えた物が明日には買えなくなっている」というような状態です。ゆえにインフレ下では、人々はなるべく早く物を買おうとするので、社会全体でお金が沢山循環し、景気が良くなるのです。インフレを悪い事のように誤認している人もいますが、年2%程度の緩やかなインフレは経済発展に不可欠です。ただし、極端なインフレは悪影響もあるので、緩やかに物価が上昇していく事が理想です。
実際、アメリカ・イギリス・ドイツなどの先進国では、物価は2〜3%程度のインフレで推移していますし、新興国も全てインフレ経済です。世界中でデフレが続いている国は、日本だけです。日本で長らく不況が続いていたのは、日銀がデフレ対策を行ってこなかった(十分な量的金融緩和を行わなかった)事が大きな理由です。
消費者物価指数の長期推移まとめ
・日本の物価は第二次大戦後の後処理で急激なインフレになった
・オイルショックやバブル景気でも消費者物価指数は上昇した
・1990年代後半からのデフレで日本経済は停滞期に陥った
とはいえ、近年は日本でもデフレからの脱却が進みつつあります。2013年から自民党の安倍晋三総理と日銀の黒田総裁が協力し「アベノミクス」や「黒田バズーカ」と呼ばれるインフレターゲット政策を行い、日本はようやくデフレ脱却の第一歩を踏み出しました。
ですが、物価の上昇は目標値の2%には届いていません。インフレで利権を侵される債権村の住人(国債投資が多い銀行や生保・損保、債券トレーダーなど)が「アベノミクスは失敗している」「これ以上の緩和は危険だ」などと強烈な逆ステマを行い、更なる量的金融緩和を阻止していることが原因です。日本経済が本格的な上昇に入るには、債権村の利権を破壊し、更に強烈な量的緩和政策を行う事が不可欠です。