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日本の離婚率推移〜世界との比較

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インターネットでは「日本人の離婚率は3分の1、夫婦3組のうち1組は離婚する」という情報が蔓延してますが、これは正確な統計とはいえません。この手の離婚率は、単純に「その年に結婚した男女」と「その年に離婚した男女」を比較しているからです。

厚生労働省が発表している人口動態統計によると、2016年の結婚件数は62万531組、離婚件数は21万6798組となっています。この数字を基に、離婚件数÷結婚件数とすれば離婚率は約35%=3分の1というよく見かける結果と一致します。

しかし上記の計算方法だと、分母は2016年に結婚した人しか対象になってませんが、分子の離婚は2016年以前に結婚していた夫婦全てが対象です。これでは離婚率が高く算出されるのは当然であり、日本人の離婚の実態を正確に表しているとは言えません。

正しい離婚率を導き出すには、日本の全夫婦数を分母にせねばなりませんが、そのよなデータは政府の統計には見当たりません。よって以下のグラフは、厚生労働省が公表している人口動態総覧の「人口千人当たりの離婚率」というデータを参照しています。

日本人の離婚率の推移

※厳密には、このデータも正しい離婚率とも言えません。人口千人あたりという母数には、未婚者や年齢的に結婚出来ない子供も含まれており、夫婦数も一定とは言えないからです。しかし、最初に挙げた「離婚件数÷婚姻件数」よりは実態に近い結果になりますし、後述する「世界の離婚率比較」ではこの数値しか統計が存在しないので、当サイトでは暫定的にこれを「離婚率」と定義します。

戦後間もない1950年に1.01だった離婚率は、高度経済成長期と共に緩やかな減少推移を続け、1963年に0.73という最低値になりました。以後は微増減を繰り返しましたが、バブル崩壊後の1990年代から急激にに増加し、2002年には過去最高の2.3を記録しています。

日本の離婚率が増加している背景には、若者のできちゃった結婚が多くなった事が影響していると推測されます。特に10代のできちゃった結婚では、5年以内に離婚する率が80%を超えるという口コミもあるので、離婚率を大きく押し上げています。

ちなみに、ネットでよく見かける「結婚式と離婚率に相関がある」という話は、結婚業界が作り上げたデマ説が濃厚です(関連⇒「結婚式を挙げないと離婚率が高い」は嘘!)。

また、近年は長年連れ添った夫婦が別れる、いわゆる熟年離婚も増加しています。夫が定年退職して年金がもらえるタイミングで離婚を切り出せば、妻は金銭的な問題を抱えずに老後を過ごせます(離婚しても夫の合意があれば妻は年金の半分が得られる)。2005年にテレビ朝日で放送された渡哲也氏主演のドラマ「熟年離婚」は、定年を機に妻から三行半を叩き付けられた夫の苦悩を描き、リアリティがある内容が口コミで広まりました。

どちらの原因も、根本にあるのは経済的な要因です。後述するように、貧困層が多い国・地域ほど離婚率が高い傾向にあります。バブル経済だった1980年代後半に離婚率が下がっているのは、その逆という訳です。

世界の離婚率比較〜日本もアメリカも中国も大差ない

一方で、世界の主要国の離婚率と比較したグラフも載せてみます。ソースは厚生労働省の資料。基本的に2015年の離婚率を記載していますが、データの有無の関係から、イギリスは2014年、ロシアは2013年、中国は2012年の数字になっています。

世界各国の離婚率比較グラフ

ほとんどの国の離婚率は2前後であり、日本の1.8という数字は、世界と比較して特に多くも少なくもありません。アメリカと言えば行きすぎた個人主義で、ワガママ夫婦が離婚しまくっているイメージが強いですが、他の国より僅かに多いだけで、大差ありません。国民の貧富の差が大きい中国も、男尊女卑の傾向が強い韓国も、離婚率は日本とあまり変わりません。逆に、女たらしが多いというイメージが強いイタリア人が、実は最も離婚率が低いのも面白い傾向ですね。

そんな中で目を引くのが、ロシアが4.7という突出して離婚率が高いことです。理由は、旧ソ連の崩壊による経済不安と失業者の増加が未だに尾を引いているという説があります。またロシアでは、男性があまり働かないという国民性があるため、女性の稼ぎは決して多くないにも関わらず、男女の経済的格差が少なくなっている事も、離婚率の増加に繋がっているようです。そんな事もあってか、ロシアでは男女の平均寿命差が大きいのも特徴的です。

日本の離婚率推移〜世界との比較まとめ
・日本の離婚率はバブル崩壊後に急増したが、最近は低下傾向
・できちゃった結婚や熟年離婚の増加(女性の経済的自立)が原因
・世界と比較すると日本の離婚率は平均的

ちなみに、日本では都道府県によって離婚率に倍近くの差があります。総務省が発表したデータによると、2015年の離婚率が高い都道府県は、1位が沖縄県の2.53、2位が宮崎県の2.10、3位が北海道の2.09となっています。逆に離婚率が低いのは1位が山形の1.35、2位が新潟の1.39、3位が富山の1.40です。沖縄は他の都道府県と比較して「できちゃった結婚」の数が多い事、また平均年収が全国最下位(約350万円)と貧困層が多い事も、離婚率の高い理由です。

沖縄やロシアの事例や、高度経済成長期は日本全体で離婚率が低かったのに、バブル期崩壊以降に上昇しているデータからも、経済的な豊かさが離婚率に大きく影響していることは間違いなさそうです。「金の切れ目が縁の切れ目」という諺は、現代でも的を射ている訳ですね。

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