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日本と世界のプロゲーマーの年収比較

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近年、eスポーツが世界的にブームを巻き起こしています。eスポーツはビデオゲームをスポーツと捉えた競技であり、海外では賞金総額が10億円を超えるような大規模な大会も開催されています。それに対し、日本では未だにeスポーツが普及していません。

★関連ページ;eスポーツの市場規模と日本で流行しない理由

日本にも、スポンサー企業と契約したプロゲーマーは何名もいますが、年収を海外のプロゲーマーと比較すると遙かに少額で、喰えない人が多いのが現状です。以下の表は、日本と世界のプロゲーマーの累計収入TOP10を比較したデータです。金額は大会での獲得賞金(累計)であり、スポンサーとの契約金などは含まれていません。

※ソース;esportsearnings

日本と世界のプロゲーマーの年収(生涯獲得賞金)比較
日本のプロゲーマー   世界のプロゲーマー
名前(芸名) 国籍 収入 順位 名前 国籍 収入
ときど 日本 20.8万ドル 1 KuroKy ドイツ 348万ドル
ウメハラ 日本 19.3 2 Miracle ヨルダン 306
かずのこ 日本 19.0 3 UNiVeRsE アメリカ 294
ふ〜ど 日本 13.5 4 MinD_ContRoL ブルガリア 282
ももち 日本 12.0 5 Matumbaman フィンランド 282
ノビ 日本 5.7 6 ppd アメリカ 265
ハイタニ 日本 4.5 7 SumaiL パキスタン 264
ゆかどん 日本 4.2 8 GH レバノン 244
板橋ザンギエフ 日本 3.5 9 Fear アメリカ 242
ネモ 日本 3.1 10 iceice 中国 200

日本人で最も獲得賞金が多かったのは、ストリートファイターシリーズなどの格闘ゲームで活躍している「ときど」氏です。東大卒でありながらプロゲーマーになったという異色の経歴を持つときど氏は、2017年の年収が約1000万円になる計算です。内訳は、Evolution(世界最大の格闘ゲーム大会)ストリートファイター5部門で優勝(約400万円)、同年のカプコンカップでは準優勝(約500万円)です。しかし、生涯での獲得賞金総額は2300万円程度に止まっています。

ランキング2位は、日本のプロゲーマーとして最も有名な「梅原大吾」氏ですが、彼でも累計の獲得賞金はおよそ2000万円に過ぎません。ただし梅原氏は「Red Bull」や「HyperX」など4社もスポンサー契約を結んでおり、また自身の著書の出版、講演会への出演など、大会賞金以外での稼ぎも多いので、実際の年収は2〜3千万円あると推測されています。

一方で、海外のプロゲーマーの収入1位は「Dota 2」で活躍している「KuroKy」選手で、その獲得賞金は348万ドル(約3億8000万円)と日本とは比較にならない金額です。2017年の年収(賞金のみ)で244万ドル(約2億7000万円)を稼いでいるので、世界のプロゲーマーの年収トップの選手は、日本のプロゲーマー全員の合計よりも多い訳です。

その他のトップ10選手も、獲得賞金は200万ドル(約2億2000万円)以上で、日本のプロとは桁2つ違うのが実情です。日本のプロゲーマーは、世界的に見れば「負け組」なのです。

格闘ゲームは市場規模が小さい=賞金も少額

日本のプロゲーマーの年収が少ないのは、法律的な問題で大会の賞金額を多く出来ないという理由もありますが、それ以上に海外とのゲームの嗜好の差も大きいです。

日本のプロゲーマーTOP10は、全員が格闘ゲームプレイヤー(ほとんどがストリートファイター)であり、他のeスポーツジャンルは人気がありません。ストリートファイター5の世界累計販売本数はおよそ200万本で、年末に行われる世界大会の「Capcom Cup 2017」の賞金総額は37万ドル(約4000万円)です。そしてストリートファイター5の市場規模は全世界で200万人です(同作品はゲームセンター版が存在しないため、販売本数=プレイ人口となる)。

それに対し、海外のeスポーツではDota2のようなMOBA(2つのチームに分かれて戦うリアルタイムのアクションRPG)や「Call of Duty」などのFPS(一人称視点の銃撃戦ゲーム)といったジャンルが主流です。

その中でも特に人気の高いのが「League of Legends」で、全世界のプレイ人口は1億人を突破しており、ストリートファイターとは、桁2つ違う程のユーザー数です。この比較にならないほどの市場規模の差が、大会の賞金額にも反映される訳です。League of Legends の公式世界大会「2017 World Championship」は、賞金総額およそ460万ドル(約5億円)と、ストリートファイター5の10倍以上です。

League of Legends よりも更にすごいのが、Dota2(※注)の公式世界大会「The International 2017」で、賞金総額はおよそ2470万ドル(27億円)、優勝賞金は約1080万ドル(約12億円)という、eスポーツ史上最高額となっています。

※注;Dota2はチーム戦なので、優勝賞金は複数人で分配することになります。

League of Legends や Dota2 は、海外では極めて人気の高い作品ですが、日本では全く流行っていません。このように、賞金総額の多いゲームジャンルが日本で人気がない事から、プロゲーマーの年収面で、日本と海外に大きな差が生まれているのです。

※関連サイト;日本のプロゲーマーが低年収な裏事情

eスポーツはまだ黎明期であり、上記の獲得賞金もせいぜい5年程度の累計金額です。しかし上記のように、格闘ゲームとFPS・MOBAとは大会規模が桁違いなので、年収の差は今後も開く一方です。そしてユーザー数・ファンの数も桁二つ違うので、賞金の差が埋まることもありえません。

日本と世界のプロゲーマーの年収比較まとめ
・日本のプロゲーマーの収入トップは2000万円程度
・海外のトッププロゲーマーは年収1億円以上
・海外で人気のジャンルが日本では流行っていない事が大きな問題

これまで日本ではeスポーツに関する団体が複数存在していたため、選手が海外の大会へ参加出来ないなどの問題がありました。しかし2017年12月、各団体が統合し、新たにeスポーツ代表団体を設立する事が発表されました。今後は、日本でもeスポーツが発展していく事が期待されるので、ファンとしては喜ばしい話です。とはいえ、ゲームの嗜好の違いを解消できない限り、日本のプロゲーマーの年収が少ない状況は変わらないでしょう。

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