日本と世界の統計データ

日本のバターが世界一高い理由

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バターというのはパン、ケーキ、シチュー、グラタンなど、様々な料理を作るうえで欠かせない食材です。しかし実は、日本のバター価格は世界一高いのです。総務省統計局の発表したデータによると、2008年時点でのバター250gあたりの価格は、日本が4.45米ドルです。一方、アメリカは1.81ドル、フランスは2.39ドルなど、海外は日本のおよそ半額かそれ以下となっています。

世界各国のバター価格(250g・米ドル)
日本4.45ドル
アメリカ1.81ドル
イギリス1.93ドル
フランス2.39ドル
イタリア3.06ドル
ロシア1.74ドル
アルゼンチン1.49ドル
シンガポール2.57ドル
オーストラリア1.93ドル
南アフリカ1.78ドル

※出典;総務省統計局〜世界の統計より抜粋。

日本のバターが世界一高くなっている理由は、バターの生産量が不足しているためです。バターの原料は言うまでもなく牛乳(生乳)ですが、日本では牛乳の自給率は100%です。牛乳の輸入が禁じられているわけではありませんが、政府は日本の酪農家の保護を目的として、乳製品全般に高い関税を掛けています。

そのうえ牛乳は賞味期限が短く、10度以下での保冷も義務付けられているため、輸入手段も限定されます。こうした事情から、牛乳の輸入は採算に合わず、国内自給率が100%なのです。

酪農家は減っており、バターは優先順位が最後

しかし、日本の酪農家の数は年々減少が続いています。2005年の酪農家数は2万8000戸、2010年は2万1900戸、そして2016年は1万7000戸と、ここ10年で約40%も減少しています。これだけ酪農家が減ると、当然牛乳の生産量も減少します。そして生産された牛乳の利用方法には優先順位があり

@飲用牛乳→ A生クリーム→ Bチーズ→ Cバター

という順番になっています。つまり、バターは最も後回しにされる存在であり、牛乳の生産量減の影響を強く受けるという事です。

飲用牛乳は消費期限が短いため、牛乳の利用方法として優先的に割り当てられます。そして保存可能な期間が短い順に、生クリーム、チーズに加工されます。バターは比較的長期保存が出来るので、牛乳の生産量が多い時以外は、中々順番が回って来ないのです。こうした事情で、牛乳自体は特に品薄になっていないのに、バターが不足・高騰するという問題が起こっているのです。

ならばバターを直接輸入すれば良いと考える人もいるかもしれませんが、実はバターの輸入は、法律で政府しか出来ない事になっており、民間企業が独自に行う事は認められていません。政府は必要に応じてバターを輸入していますが、酪農家の保護を重視しているため、最低限需要を賄いきれる分しか輸入しません。しかも、政府が輸入しているのは業務用の冷凍バターのみで、家庭用の冷蔵バターの量は増えません。

政府としては、これまで業務用バターに加工されていた牛乳を、家庭用バターに利用してもらおうと考えていました。ですが、最近はコンビニスイーツのブームなどによって生クリームの需要が増加しており、牛乳が家庭用バターに加工される量が政府の想定よりも少なかった事で、バター不足の解消が出来なかったです。結果として、日本のバターは世界一高くなったのです。

日本はバターが世界一高いまとめ
・日本のバター価格は世界一高く、アメリカの二倍以上!
・酪農家の減少で、バターの原料である牛乳の生産量が減った
・バターは牛乳の加工品として最も後回しにされる存在なので影響が大きい
・政府はバターの輸入量を制限しているので供給不足が中々解消されない

人間と同じく、牛もミルクを出すのはメスだけで、しかも搾乳出来るのは出産後の一定期間に限られています。牛の妊娠期間は約9ヶ月半なので、牛乳が不足したからといって、生産量を急激に増やす事は不可能です。牛乳は保存出来る期間も短いため、多すぎず少なすぎず、常に需要と供給を絶妙なバランスで保つ必要があります。このように生産調整が難しい食品だという事が、バター価格高騰の根本的な原因です。

 
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