HOME > 生活 > 大地震の余震・前震の間隔とその法則の調査
日本は地震の発生数が極めて多い国です。日本列島は4つの海底プレートが集中した場所にある事、また全土に活火山が分布している事が、地震が多い理由です。近い将来、これまで以上に大規模な「南海トラフ地震」が発生すると言われ、様々な防災対策が必要とされています。
地震活動は主に3種類あり、最も揺れの大きな地震を本震、本震の後に数回起きる小規模な地震を「余震」、本震の前に発生する地震を「前震」と呼びます。余震の間隔は、本震の直後が最も起きやすく、時間が経つに連れて発生数が減少する傾向があります。気象庁は、大規模地震の発生から1週間程度は余震に注意すべきだと呼びかけています。
余震や前震は、地震に伴って必ず発生するわけではなく、ほとんど(全く)起きない場合もあります。日本では、余震や前震は本震の前後どのぐらいの間隔で発生していたのか?過去の大規模地震の事例を一覧表にし、法則が無いか調査してみました。
大地震(震度6以上)の余震の最大間隔と前震の有無 | ||||
地震名 | 発生日 | 本震の大きさ | 大きな余震と最大間隔 | 前震の有無 |
阪神淡路大震災 | 1995年1月17日 | 震度7(M7.3) | 翌日以降震度4以上無し | 無し |
新潟中越地震 | 2004年10月23日 | 震度7(M6.8) | 4日後=震度6弱 | 無し |
東日本大震災 | 2011年3月11日 | 震度7(M9.0) | 32日後=震度6弱 | 震度5弱 |
淡路島地震 | 2013年4月13日 | 震度6弱(M6.3) | 震度4以上無し | 無し |
熊本地震 | 2016年4月16日 | 震度7(M7.3) | 翌日以降震度6以上無し | 震度7 |
茨城北部地震 | 2016年12月28日 | 震度6弱(M6.3) | 震度4以上無し | 無し |
大阪北部地震 | 2018年6月18日 | 震度6弱(M6.1) | 1日後=震度4 | 無し |
北海道胆振東部地震 | 2018年9月6日 | 震度7(M6.7) | 24日後=震度4 | 無し |
※ソース;気象庁の地震データベース
日本でこれまでに観測された最大規模の地震が、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。この震災の被害者数は、2017年時点で死者1万5893人、行方不明者は2553人にのぼりました。本震の震度は7、マグニチュード9.0でしたが、震度5弱を超える余震は2ヶ月間でおよそ50回も発生しています。しかも、1ヶ月以上後でも震度6弱という極めて大きな余震が起こりました。
あまり知られていませんが、実は東日本大震災でも「前震」が発生していました。本震の2日前の3月9日、三陸沖で震度5弱の地震が起きています。後述しますが、それが前震か本震かを見分ける法則は無いので、気象庁は注意喚起する事ができなかったのです。
一方で、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災は、他の大地震と比較して、余震の回数が少なく規模も小さかった特徴がありました。本震は震度7、マグニチュード7.3と規模が極めて大きかったですが、翌日以降は震度4を超える余震は無く、当日も震度5を超えるものは一度もありませんでした。また、前震と見られる地震も起きていません。
2016年の熊本地震は、4月14日の前震と16日の本震、ともに震度7という大規模なものでした。本震発生から2ヶ月間で、震度5を超える余震はおよそ20回でした。2ヵ月後の6月12日でも震度5弱の地震が発生しており、長期的に余震が続いていたのです。
前震という言葉は、一般的にあまり認知されていませんでしたが、熊本地震以降に広く知れ渡る事になりました。熊本地震は当初、4月14日に起きたマグニチュード6.5の地震が本震と見られていましたが、2日後の4月16日にそれを超えるマグニチュード7.3の地震が発生した事で、気象庁は14日の地震は前震だったと訂正したのです。基本的に前震は、後になってから判断できるもので、現在の技術では本震なのかどうかを事前に見分ける事は不可能です。
2004年10月23日に発生した新潟中越地震は、本震が震度7、マグニチュード6.8で、2ヶ月間で震度5を超える余震はおよそ20回です。前震と思われる地震は起きていませんが、本震の当日に震度5強を超える余震が多発しているという特徴がありました(東日本大震災よりも多い)。
※追記;2018年9月6日に起きた北海道胆振東部地震は、最大震度7(気象庁は一旦「6」で発表した後に訂正)を記録。その後北海道では、9/17まで断続的に震度4以上の揺れを観測し、その後2週間近くあいた9/30に再び震度4の余震(と思われる)が発生しています。やはり大地震から一ヶ月は、要注意期間として警戒すべきですね。
大地震の余震・前震の間隔とその法則の調査結果まとめ
・大きな余震は本震から1ヶ月以上経っても発生する事がある
・阪神淡路大震災のように余震の回数が極めて少ないケースもある
・前震か本震なのかを見分ける法則は無い!
このように、突然大地震が起きた場合、それが本震なのか前震なのかを見分けることはできません。また余震についても、新潟中越地震のように震度5以上の巨大なものが24時間以内に多発する事もあれば、東日本大震災のように2ヶ月以上の長期に渡って続いたり、阪神大震災のように大きな余震が皆無なケースなど、間隔や大きさも実に様々です。
現状の科学技術や過去のデータからは、地震に一定の法則は見いだせません。学者の中にも、テレビでお馴染みの武田邦彦教授のように「地震予知は物理的に不可能だ!」と断言する人が何人も居ます。ゆえに、とにかく日頃から防災の準備をしておき、大地震の後は当面警戒を続ける事しか、対策は無いのです。