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日本の卵の価格と消費量の推移

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日本は世界の中でも卵(鶏卵)の消費量が多い国です。鶏や卵に関する情報を公開している鶏鳴新聞発表のデータによると、2014年の世界各国の国民一人当たりの年間卵消費量は、日本は329個で世界3位です。つまり、日本人はほぼ毎日1個卵を食べている計算になります。

以下のグラフは、日本の卵の生産量と価格の推移を表した物です。

※全農東京市場Mサイズ1kg当たりの価格(Mサイズは1個当たり約60g)

卵の生産量と価格の推移

日本人の卵消費量は、1955年時は40万トンでしたが、2015年には252万トンと、この60年でおよそ6倍に増えました。しかし卵の価格については、この60年間ずっと200円程度で推移しており、ほとんど変化していません。卵は「物価の優等生」と呼ばれる所以です。

※1970〜80年頃に300円台に上昇していますが、これはオイルショックによる物価上昇の影響です。養鶏産業も、飼料代や輸送コストの増加を余儀なくされたからです。

日本の卵の自給率はほぼ100%で、輸入される卵はマヨネーズなどの一部の加工品にしか用いられていません。つまり日本の卵は、消費量の増加と共に生産量も大幅に伸ばしてきて、価格を維持してきたという事です。

1955年頃、卵の生産を行っていた養鶏農家では、飼育できる鶏は10羽程度であり、卵の生産数は限られていました。しかし、近年の卵は養鶏場によって大量生産されるのが主流となりました。養鶏場は1棟当たりで平均5万羽以上も飼育されているので、卵の生産数は桁違いです。

一般的な鶏は、一日およそ一個のペースで卵を産みます。正確には約24〜25時間周期なので、毎日少しずつ産む時間が遅くなります。ただし、基本的に夜中には産まない体質になっているので、その分は翌日に持ち越しされます。

よって一羽の鶏が産む年間の卵の数は、概ね280〜300個となります。5万羽を飼育している養鶏場だと、1年間に約1500万個の卵が生産されるという事です。日本人の卵の消費量が増えても、価格の推移がほぼ一定なのは、このように生産数が格段に増えている事が理由です。

卵の消費量が多い国ランキング

上記の通り日本の年間卵消費量は世界3位ですが、ランキング1位はメキシコの352個です。日本のスーパーで販売されている卵パックは主に10個入りですが、メキシコでは24個や30個といった大容量のパックも販売されている程に、消費量が多い文化なのです。

メキシコでは、朝食として定番の「ウエボス ランチェロス」(トルティーヤに目玉焼きを乗せてサルサで煮た料理)や「ウエボス ア ラ メヒカナ」(炒り卵に3色の野菜を混ぜた料理)など、卵を使った料理が豊富にあります。

卵の消費量が多い国ランキング
順位 国名 年間消費量
1 メキシコ 352個
2 マレーシア 343
3 日本 329
- アメリカ 261
- 中国 255
- ドイツ 231
- フランス 216
- イギリス 184

また、メキシコでは卵は不幸を遠ざけるおまじない(Evil eye)にも用いられており、食事以外の面でも需要が高いという事です。このように、メキシコ人にとっての卵は、日本人におけるお米のような存在であり、生活に深く根付いているのです。

アメリカや中国も卵の消費量は多いです。イギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国は、朝食に目玉焼きやオムレツ・・・みたいなイメージが強いですが、意外にもあまり多くないようです。

日本の生卵を食べる文化は、世界的には珍しい

ところで、@niftyが2017年に行ったアンケートによると、好きな卵料理のランキングは、1位が「玉子焼き」で65.8%、2位が「目玉焼き」で64.8%、3位が「親子丼」で54.4%、4位は「卵かけごはん」で54.1%、5位は「オムレツ」で50.3%という事です。ランキング上位のメニューの多くが和風であり、日本人が卵に関して独自の食文化を持っている事が窺えます。

中でも、日本人の特徴は生卵をよく食べる事です。卵かけご飯は旅館などの朝食メニューの定番ですし、すき焼きも生卵をつけて食べるのが一般的です。しかし、生卵を食べるのは日本特有の食文化であり、海外では卵を調理せずに食べる事はあまりありません(例外はパスタのカルボナーラ)。海外は日本と比較して衛生管理が不十分な国が多く、卵を生で食べると食中毒を起こすリスクが高い事が理由です。その点、日本の衛生管理は世界一と言える程に徹底されているため、卵を生で食べてもほとんど心配無いのです。

これと似た事例として、水道水があります。アメリカや中国など、海外の大半の国は浄水レベルが低いため、蛇口から出る水をそのまま飲む事はできず、一旦沸かして消毒する必要があります。水道水が飲める国は、日本を含めて世界でわずか15カ国しかないという事です。

水道水が飲めない国では、水道のインフラを整えるよりも、ペットボトルなどで販売した方がコストが安く済むため、いつまでも状況は改善されないのです。こうした海外と比較すると、日本が食の安全面で極めて恵まれた環境にある事が分かります。

卵の価格と消費量の推移まとめ
・日本の卵の消費量は大幅に増えたが、価格は変わっていない
・養鶏場で卵を大量生産する事で供給を増やしている
・日本人は生卵も食べるので、世界的に消費量が多い

とはいえ、日本の卵が本当に健康的な食べ物と言えるのか、疑問視する声もあります。養鶏場で5万羽以上もの鶏を飼うためには、当然平飼い(平たい地面で放し飼いにする飼育方法)は不可能です。養鶏場の鶏は、羽を広げるスペースもない程に狭く薄暗いケージに閉じ込められ、エサを食べてただ卵を産むだけの、極めて不健康な環境で育っているのです。その様子を「自動卵産み機」と揶揄する口コミもあります。

本来、鶏の寿命は10年程ですが、養鶏場で飼われる鶏は、ストレスの影響で平均2年しか生きられないようです。はたして、養鶏場で産み出された卵は健全と言えるのでしょうか?

 
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