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日本全国の自販機の売上金額と設置台数の推移

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日本では、街中に多くの自動販売機が設置されています。ジュースやお茶などの飲料をはじめ、タバコ・新聞・乾電池など生活雑貨も販売されています。また、駅や飲食店の券売機・コインロッカーや両替機、カプセル型のおもちゃがランダムに出る「ガチャガチャ(ガシャポン)」タイプなど、種類も実に豊富です。

日本の自動販売機の設置台数は、2017年末時点で約427万台で、年間の売上金額は4兆6478億円です。これは、世界と比較しても圧倒的な数値です。アメリカ(2013年)の設置台数は約645万台と日本以上ですが、売上は4兆1846円で下回っていますし、人口や面積で換算した比較だと、日本の自販機普及率はダントツで世界一です。

以下は、日本全国に稼働している自販機の設置台数および売上金額の表です。

日本全国の自動販売機の台数と売上(2017年)
機種 内容 設置台数 売上金額
飲料 ジュース(清涼飲料水)など 244.4万台 2兆452億円
食品 アイス・お菓子・麺類など 7.2万台 564億円
タバコ たばこ 17.1万台 2073億円
券類 乗車券・入場券など 5.5万台 2兆823億円
日用品雑貨 新聞・カード・ガチャガチャなど 23.9万台 1296億円
自動サービス機 両替機・コインロッカーなど 129.0万台 1270億円
合計   427.1万台 4兆6478億円

※ソース;日本自動販売システム機械工業会

日本に自販機が多い理由の一つが、人口密度の高さです。日本の都市部、特に東京23区は世界で最も人口密度の高い地域であり、繁華街だけでなく住宅地や道路沿いなどでも採算が見込める事から、多くの自販機が設置されているのです。

治安の良さも、自販機の普及が進む大きな理由です。海外では、自販機やATMなどの無人機械は盗難のリスクが高いため、設置されているのは空港・ホテル・ショッピングモールなど、人の多い場所に限られています。外国人観光客の中には、日本に来て最も驚いた事として自販機の多さを挙げる人も多いです。


※外国人観光客の小銭使い残しを狙ったガチャガチャ自販機。

日本の自販機は性能が優れているという点も、普及が進んでいる理由です。例えば日本では、一台の自販機で「温かい」と「冷たい」の両方のドリンクを販売していますが、こうした複数の温度に対応できている国は無いそうです。しかも日本の自販機は、コールド商品を冷やす際に発生する熱を、ホット商品を温めるために再利用するという、ヒートポンプ式が主流になっており、省エネ効果も高いです。更にこうした温度管理は、全体を一括で行うのではなく、次に売れそうな商品(過去の販売データから予測)だけをピンポイントで温める・冷やすといった仕組みも備わっています。

最近では、Suicaなどの電子マネーが利用できるモデルや、ディスプレイがタッチパネルになっている(カロリーなど商品の詳細が確認できる)といった自販機も多くなっており、利便性は増しています。

そして日本の自販機は、単に商品を販売するだけでなく、防犯や災害にも役立てられています。例えばキリンは、商品サンプルに小型カメラを内蔵し撮影する「みまもり自動販売機」の設置を進めています。一般的な防犯カメラは電柱などの上方に設置されるため、人の顔を判別しにくい場合もありましたが、みまもり自動販売機は人間の目線と同じ高さから撮影されるので、不審者の姿を確認しやすくなっています。

また、非常時には無料でドリンクを取り出せる、フリーのWi-Fiアクセスポイントになる、といった災害対策用の自販機も普及が進みつつあります。

自販機の設置台数は減少傾向・・・

このように、日本の自販機事情は環境・性能・利便性など全てが高レベルですが、近年は設置台数の推移が減少傾向です。2006年時点の全国の自販機設置台数は552万台でしたが、2017年では427万台と、およそ4分の3に減少しているのです。

自販機の設置台数推移

自販機が減少している理由は、コンビニの影響が大きいです。コンビニは自販機と同じく24時間商品を買えますし、品揃えも豊富というメリットがあるため、自販機のシェアが大きく奪われているのです。特に近年は、コンビニ各社がその場でドリップする100円コーヒーを販売し始めた事で、飲料自販機の衰退に拍車を掛けました。

そして近年は、未成年にお酒やタバコを販売しないように、自販機の規制が厳しくなっています。自販機でタバコを購入する際は、タスポ(成人識別ICカード)が必須になりましたし、お酒の自販機も激減しています。その分、コンビニに客が流れているのです。

※国税庁によると、2018年4月時点の酒類自動販売機(年齢確認機能ナシ)は、全国で2753台しか無いそうです。西成や尼崎・川崎など特定の地域を除けば、酒の自販機は激減しています。

日本と世界の珍しい自販機

日本では、特殊なラインナップや販売形態で、マニアに根強い人気がある自販機も存在します。珍しい食品の自販機としては、うどん・ラーメン・カレー・トースト・ハンバーガー・カツ丼など、まるで定食屋のように豊富な種類があります。

これらの自販機のほとんどが古い製品であり、独自の構造になっている事も多いため、故障した場合に交換できる部品が現存しておらず、修理が不可能という問題があります。そのため、こうした変り種の自販機は、徐々に世の中から姿を消しているのが実情です。

世界での珍しい事例として、ドバイやラスベガスなどに「金」を売る自販機があります。プレート型・コイン型・延べ棒など様々なタイプの金があり、安ければ1万円程度、高い物は10万円以上で販売されています。空港やホテルなど警備が行き届いており、かつ富裕層が訪れる設置場所なので、自販機でも窃盗の心配は少ないのです。

余談ですが、日本最大のスラム街として知られる大阪の西成では、極端に商品価格の安い自販機も存在します。一般的な自販機で130円の清涼飲料水が、50円前後〜時には10円という破格の値段で販売されている事もあります。


※キリンもUCCも伊藤園も激安!な西成のジュースの自販機

飲み物は「サンガリア」のような元々格安のメーカーだけでなく、有名企業のジュースも激安で売られています。この価格を実現できる理由は、賞味期限切れ間近の商品を安く大量に仕入れるからです。それが在庫過多になると、捨て値同然でも自販機を使って叩き売ってしまおう、となる訳です。西成近辺は、有名な激安店「スーパー玉出」の本拠地なので、有名メーカー品でも賞味期限が近いと激安にせねば売れない・・・という事情も関連しているのでしょう。

日本全国の自販機の売り上げと普及台数の推移まとめ
・日本は世界一の自販機大国
・全国に400万台以上が稼働し、売上は4.6兆円!
・コンビニにシェアを奪われた事で、設置台数の推移は減少傾向

中国やインドなどの新興国では、社会のキャッシュレス化が進んでおり、現金での買い物割合が減っています。前述のように、海外で自販機が普及しない理由は、機械の破壊による現金盗難リスクが高い事です。しかし電子マネーになれば、その危険性はほぼ無くなります。今後は日本よりも中国などの新興国で、自販機が普及していくかもしれません。

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