HOME > 生活 > 日本の外食産業の市場規模推移と内訳
外食と言えば、ホテルのビュッフェからマクドナルド等のチェーン店、そして町の定食屋に至るまで、様々な形態があります。では日本における外食産業の市場規模はどの程度でしょうか?以下は1980年以降の外食産業の市場規模(売上高)の推移を表したグラフです。
日本の外食産業の業態別市場規模 | ||
業態 | 市場規模 | |
営業給食 15兆7575億円 |
食堂・レストラン | 9兆658億円 |
そば・うどん | 1兆1474億円 | |
寿司 | 1兆3459億円 | |
宿泊施設 | 2兆6639億円 | |
その他 | 1兆5345億円 | |
集団給食 3兆3131億円 |
学校給食 | 4880億円 |
社食・弁当 | 1兆7066億円 | |
病院 | 8189億円 | |
保育所 | 2996億円 | |
喫茶店・居酒屋 2兆698億円 |
喫茶店 | 1兆602億円 |
居酒屋・ビアホール | 1兆96億円 | |
料亭・バー 2兆7642億円 |
料亭 | 3304億円 |
バー・キャバクラ | 2兆4338億円 |
※データソース:知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ(高橋書店)
日本では、バブル景気と共に外食産業は急拡大しましたが、1997年の29兆円をピークに市場規模は縮小傾向にあります。圧倒的勝者であったマクドナルドやスターバックスですら、近年では店舗の閉鎖・縮小が相次いでいます。
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外食産業の市場規模が落ち込んでいる理由の一つが、中食(なかしょく)の増加です。中食とは、総菜やコンビニ弁当などの調理済み食品を買って自宅で食べる事です。買ってきた食材を家で調理して食べるのを内食、食堂やレストランなど家の外で食事をするのを外食と呼びますが、中食はその中間的な存在です。
同じ料理を提供するサービス業でも、レストランや定食屋などは飲食スペースとして広い店舗が必要なので、そのコストが上乗せされます。中食は外食と比較して価格競争力が高い、客からすれば美味しい上に安い(=コスパの良い)飲食物なので、市場が拡大しているのです。
日本惣菜協会のデータによると、2006年の中食の市場規模(売上)は約7兆8千億円でしたが、2015年にはおよそ9兆6千億円と、10年間で20%以上も拡大しているのです。その分、外食の市場規模が喰われている事になります。近年は、お正月のおせち料理などすら、家で作らずにデパートなどで購入する家庭が増えており、今後ますます中食の売上は伸びると推測されます。
また、単純に日本の経済が悪化している事も、外食が衰退している理由の一つです。1990年代は、バブル景気の余韻が残っていました。例えばサラリーマンの平均年収のピークは1998年でしたし、中央競馬(JRA)の馬券売上高は1997年、パチンコ産業の売上高も1995年がピークでした。ギャンブル産業同様、外食産業も国民の可処分所得に大きく影響を受けるので、2000年代からの漸減傾向はある意味当然と言えます。
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こうした構造的な不況を受けて、近年の飲食店では社員を減らしてアルバイトを多くしたり、給料が安い外国人労働者を雇うなど、人件費の削減に注力しています。しかし、行き過ぎた人権費削減によって、従業員をこき使うブラック企業が増加している事も社会問題化しています。居酒屋の「和民」や牛丼チェーンの「すき屋」などは、長時間労働、サービス残業、休日出勤などを強いるブラック企業として有名です。
2018年にHR総研と楽天が共同で行った大学生へのアンケート調査によると、就職したくない業界という問いに「外食」と回答した生徒は、文系では2位(24.6%)、理系では1位(21.6%)となっています。同アンケートでの「就職したい業界」については、外食は文系と理系のどちらもトップ20以下という結果であり、その不人気ぶりは明白です。外食産業の社員の待遇の悪さは、ネットの口コミで広く知れ渡っており、大生からも敬遠される職業になっているのです。
日本の外食産業の市場規模推移と内訳まとめ
・外食産業の売上高は1997年をピークに縮小している
・景気の悪化や中食の増加などが、外食産業衰退の理由
・ブラック企業が多いとの口コミから、就職で敬遠されがち
一方で、共働き世帯や単身世帯の増加により「自炊はコスパが悪い」という口コミも増えており、外食や中食への依存度は増えています。タイやマレーシアなどの東南アジアでは、一切自炊しないという主婦(=デリカショップで買ってきて済ませる)が増加傾向だと言います。
プロが考えた高度なマニュアルに沿って作られた食事で、しかも他店との競争に勝ち残ってきた外食チェーンやデリカショップが、素人が急ごしらえで作った自炊飯より優れているのは自明の理です。またブラック労働問題については、ロボット・AIの活用で解決できるでしょう。当サイトでは近い将来、世界的に「自炊」が死語と化していくだろうと予測しています。