HOME > 生活 > 東京都の年間降水量の長期推移
近年の日本では、短時間に局地的な大雨が降る「ゲリラ豪雨」が増えています。気象庁発表によると、1時間の降水量が50mm以上の猛雨が発生した回数は、過去30年で1.3倍に増加しているとの事です。1時間の降水量80mm以上の雨についても、1.7倍に増えています。
しかしゲリラ豪雨は増えていても、年間の降水量は実はあまり増えていません。以下は平成以降の、東京都における年間降水量の推移です。
東京都の降水量の推移 | ||
年 | 年間合計 | 1日最大 |
1989年 平成元年 |
1937mm | 195mm |
1990 | 1512 | 123 |
1991 | 2042 | 220 |
1992 | 1619 | 119 |
1993 | 1872 | 234 |
1994 | 1131 | 70 |
1995 | 1220 | 93 |
1996 | 1333 | 259 |
1997 | 1302 | 98 |
1998 | 1546 | 94 |
1999 | 1622 | 130 |
2000 | 1603 | 115 |
2001 | 1491 | 186 |
2002 | 1294 | 107 |
2003 | 1854 | 151 |
2004 | 1750 | 222 |
2005 | 1482 | 74 |
2006 | 1740 | 154 |
2007 | 1332 | 88 |
2008 | 1857 | 111 |
2009 | 1801 | 127 |
2010 | 1679 | 102 |
2011 | 1479 | 124 |
2012 | 1570 | 121 |
2013 | 1614 | 176 |
2014 | 1808 | 148 |
2015 | 1781 | 156 |
2016 | 1779 | 106 |
2017年 | 1430 | 147 |
30年間の平均 | 1603 | 140 |
1989年(平成元年)から2017年までの東京都の年間降水量を比較すると、長期的にはあまり変動していない事が分かります(年平均で約1600mm)。1日の最大降水量についても、年毎の増減は大きいものの、平均すると140mm程度で推移しています。多い年や少ない年の発生は、単なるランダム・偶然であるとしか見て取れません。データ上からは、東京の雨量はこの30年ほぼ変わっていないと言えます。
つまり総雨量はほぼ横ばいなのに、ゲリラ豪雨は増えているのです。同じ雨量であっても、手中豪雨になると河川の氾濫や土砂災害、交通機関のトラブルなど様々な問題が発生するので、実に迷惑な傾向です・・・。
※ちなみに気象庁では「ゲリラ豪雨」という表現は使われず、テレビ局が勝手に作った造語です。
ゲリラ豪雨が増えている主な原因は、ヒートアイランド現象です。東京のような人口過密地域では、エアコンの排熱や車の排気ガスなどによって、他地域よりも熱が増えて気温が上昇するのです。その証拠にヒートアイランド現象は、田舎の山間部では見られません。
雨が降る仕組みは、空気中の水分が熱で暖まる事で水蒸気となり、上空で集まり冷やされて雲になり、雲が大きくなるとやがて重さに耐え切れなくなり、雨となって地上に降り注ぐ・・・という流れです。気温が高い場合、空気中に含める水蒸気の量が増えるので、それだけ多くの雨を降らす事になります。つまり、ヒートアイランド現象で東京など都市部の気温が高くなったために、ゲリラ豪雨の発生回数も増えたと言えるのです。
画像出典:気象庁
強い上昇気流で、垂直方向に大きく発達した雲を積乱雲と呼びます。ゲリラ豪雨を発生させるのはこの積乱雲で、狭い範囲で分厚い雲になっている事から、局地的に大雨を降らせるのです。積乱雲が発生してから、雨が降るまでには平均20分程度しか掛かりません。そのため、ゲリラ豪雨を事前に予測するのは難しく、被害も大きくなりやすいのです。
東京都の年間降水量の長期推移まとめ
・東京のゲリラ豪雨は30年で約1.7倍に増えた
・だが年間降水量は長期的にほぼ変わっていない
・都市部のヒートアイランド現象がゲリラ豪雨の原因
なお、地球上にある水の量は常に一定(496兆リットル)で変動しません。海や川の水が蒸発して雲になり、雨となって地上に降り注ぎ、また海や川へ流れ込む、といった循環がされるだけで、地球上の水の量は増減しないのです(ソース)。
ゆえに世界全体で見れば、年間の降水量はほぼ変わらない事になります。東京でゲリラ豪雨が多くなっても、年間降水量が増えていないのは、こうした理由があるのです。