HOME > エンタメ > 中国のゲーム業界の市場規模と内訳
中国の人口は13億人以上で世界最多です。そのため、家庭用ゲーム市場こそ小さいものの、パソコンゲームやスマホゲーム市場は極めて巨大です。以下は、複数のデータソースを元に、当サイトで集計した、中国のゲーム業界の市場規模とその内訳を示したグラフです。
※ソース;オランダの調査会社・Newzoo社の発表値、及びCESAゲーム白書
2015年の中国ゲーム業界の市場規模は2兆5440億円です。中でもパソコンゲーム(オンライン+ブラウザ)が最も内訳が大きく、およそ1兆5600億円の規模があります。
中国の家庭用ゲーム市場規模は351億円です。縮小の続いている日本の家庭用ゲーム市場の規模でも3302億円ですから、中国はその10分の1程度の規模しかありません。中国は(ゲームに限りませんが)著作権意識に乏しいため、海賊版ソフトが横行しており、正規のパッケージソフトを購入するユーザーはほとんどいません。ゆえに、家庭用ゲーム市場が発達しなかったという経緯があります。
一方で、ネットを使った月額課金制度のオンラインゲームならば、海賊版の問題はなくなります。こうした理由から、中国ではパソコンのオンラインゲームが主流となっているのです。
また中国では、ゲームが若者に害を及ぼす可能性があるとして、2000年から家庭用ゲーム機の製造・販売を禁止していたという歴史もあります。厳密にはこの規制は徹底されておらず、不正に輸入されたプレイステーションなどを市場で普通に購入する事も可能でした。とはいえ、上記の通りパッケージソフトを購入するユーザーはほぼいないので、まともな市場は形成されていません。2015年にこの規制は解除されましたが、未だに厳しい検閲が行われており、残虐描写のあるソフトは発売出来ないなどの制約があります。
一方で、中国のモバイル(スマホ)ゲームの市場規模は約8520億円です。Newzoo社のデータではOS別の内訳までわかりませんが、CESAゲーム白書によると、中国のiOSのゲーム市場規模は3736億円と公表しているため、アンドロイド市場は当サイトが計算によって算出しています。
※注;中国では政府がGoogleを規制しているので、AndroidユーザーがGooglePlayを利用する事は出来ません。そのため正確な統計が無く、CESAゲーム白書ではAndroidの売り上げはゼロになっています。しかし中国でAndroidのスマホゲームが存在しないわけではなく、GooglePlayを使わずメーカーが独自運営するアプリストア等で、ダウンロード販売されています。
中国のゲーム市場規模と内訳まとめ
・中国はパソコン(オンライン)ゲームの市場規模が極めて巨大
・近年はスマホゲーム市場も急拡大している
・一方で、海賊版の横行により、家庭用ゲーム機の市場は小さい
なお、中国のスマホゲーム市場は年々急拡大しており、2016年には1兆円を超え、日本を抜いて世界最大になると見込まれています。ゆえに、多くのゲームメーカーが中国市場進出を狙っていますが、中国で人気のスマホゲームは、ほぼ全て中国産のゲームであり、海外メーカーの成功例はほとんどないというのが現状です。
例えば、2016年に世界中で社会現象的なヒットを記録したNiantic社のポケモンGOは、中国では展開はされていません。ポケモンGOはGoogleMapを利用したゲームですが、上記の通り中国ではGoogleが規制されているため、リリースが出来ないのです。また、日本では4500万ダウンロードを突破する大ヒットを記録したガンホーのパズドラは、2016年に中国市場へ進出したものの、中国メーカーによる類似(パクリ)のゲームが蔓延したため売上が伸びず、わずか8ヶ月ほどで撤退を余儀なくされています。
このように、日本やアメリカなどでヒットしたスマホゲームでも、中国市場で成功するのは容易ではないのです。中国は世界一の巨大市場ですが、海外のゲームメーカーにとっては、決して有望な市場とは言えないのです。