HOME > エンタメ > スマホゲームの課金売上ランキング
近年、3DSやプレステ4などの家庭用ゲーム市場は縮小しています。その大きな理由が、スマホで遊べるゲームが台頭してきた事です(⇒日本のゲーム業界の市場規模と特徴)。
家庭用ゲームは、2〜3万円するゲーム機を購入したうえで、ソフト1本毎に5000〜8000円程度の出費が必要になります。その点、スマホは多くの人が既に所有しているので新たに本体を購入するお金が不要ですし、ソフトも基本プレイは無料という場合が多い(アイテム購入などに課金が必要)ので、とりあえず遊ぶだけならお金がいらないという手軽さが受けているのです。
また開発するメーカー側にとっても、スマホゲームは内容がシンプルな作品が主流で、グラフィックも一枚画が基本なので、家庭用ゲームと比較して開発費が大幅に安く済むメリットがあります。そのうえ、ガチャ課金(くじ引き方式のアイテム購入システム)による悪質なボッタクリを行っている事もあるため、利益率が極めて高くなっているのです。
こうした事情から、多くのゲームメーカーがスマホに注力するようになり、結果として家庭用ゲーム市場が衰退しているのです。以下の画像は、そんなスマホゲームの2017年課金売上を比較したランキングトップ10です。
※注意;数字は2017年の年間ではなく、10月3日までの約9ヶ月間の数字です。
国内スマホゲーム「課金売上」ランキング ほぼ2017年
— アプリマーケティング研究所 (@appmarkelabo) 2018年1月4日
1位:モンスト(1041億円)
2位:FGO (896億円)
3位:パズドラ(473億円)
4位:ツムツム(303億円)
5位:ドカバト(278億円)
6位:デレステ(226億円)
7位:グラブル(209億円)
8位:パワプロ(172億円)https://t.co/abBfioE1V5 pic.twitter.com/HRwSxdPl9s
ランキング1位はミクシィのモンスターストライク(モンスト)で、2017年の課金売上は1041億円と突出しています。ミクシィは元々SNS事業を中心に活動していた会社でしたが、twitterやfacebookなどライバル会社の出現により売上が低迷、2013年度の売上高は121億5500万円、営業利益は4億8000万円に低迷していました。しかし、2013年秋に稼動したスマホゲームのモンストが爆発的なヒットを記録、2014年度の売上高は1129億1800万円(前期比+829%)、純利益526億8600万円(前期の109倍)と業績が急拡大したのです。
★ミクシィの 売上高;121億円(2013年)⇒1129億円(2014年)
倒産寸前だったミクシィは、モンストのおかげで一躍スマホ市場を席巻するに至ったのです。栄枯盛衰なIT業界で、一旦死にかけて別人のように生まれ変わって市場の覇者に成り上がったというのは、iPhoneのアップル位しか前例がありません。
ランキング2位は、Fate Grand Order の896億円です。Fateシリーズの開発元であるTYPE-MOONは、元々同人ソフトサークルです。コミケで月姫などの作品を販売し人気となり、サークルとしての規模が大きくなった事から商業化を決意、以後はプレイステーションなどの家庭用ゲーム機でのソフト販売も行うようになっています。そんな同人サークルとして始まったTYPE-MOONが、今ではスマホゲームでトップクラスの売上を記録しています。大手のゲームメーカーでなくとも大成功出来るチャンスがあるのが、スマホゲーム市場の大きな魅力です。
ランキング3位は、ガンホーのパズル&ドラゴンズで473億円。パズドラといえばスマホゲーム市場を代表するヒット作であり、2018年現在の国内ダウンロード数は4700万を突破しています。ランキング1位のモンストのダウンロード数が3700万なので、まだパズドラの方が1000万上回っている状況です。
事実、パズドラの全盛期(2014年12月期)は、売上高1730億6900万円、純利益942億8300万円と、モンストを上回る業績を残していました(上記のモンストは9ヶ月の数字ですが、年間でもパズドラは超えそうにない)。パズドラは既に全盛期の勢いはないものの、未だに課金ランキングの3位にいるというところからも、その根強い人気が窺えます。
これらスマホゲームの売上がどれだけすごいのか、家庭用ゲームソフトと比較してみます。2017年7月29日、スクウェア・エニックスはドラゴンクエスト11を3DS(5980円)とプレステ4(8980円)の2機種で発売しました。ドラゴンクエスト11の累計販売本数は、3DS版が約175万本、プレステ4版が約135万本で、合計およそ310万本となっています。
この数字は、2017年発売の家庭用ゲームソフトでトップの売上であり、縮小の続く家庭用ゲーム市場であっても、ドラクエの人気はほとんど衰えていないと言えます。
しかし、ドラゴンクエスト11の売上は3DS版が約105億円、プレステ4版が約121億円で、合計しても226億円にしかなりません。家庭用で最も人気があるドラクエですら、売上金額はスマホゲーム6位のアイマスと同レベルで、1位のモンストと比較すれば5分の1に過ぎないのが実情です。これでは、多くのソフトメーカーがスマホゲーム一辺倒になるのも当然でしょう。
国内スマホゲームの課金売上ランキングまとめ
・1位のモンストは2017年の売上金額は1千億円以上
・一方、家庭用ゲーム機トップのドラクエ11でも200億円程度
・パズドラは全盛期は過ぎたが未だに高収益を生んでいる
ちなみに、2016年に世界中で社会現象を巻き起こしたポケモンGOは、ランキング10位で143億円とそれ程高くありません。ポケモンGOは、課金が必須というゲームシステムではないので、無料のまま楽しんでいるユーザーが多いと考えられます。ただし、ポケモンGOの世界全体でのダウンロード数は7億5000万以上(日本の数字は不明)と桁違いであり、海外も含めた売上で比較すると、モンストやパズドラを大きく凌駕していると推測されます。