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韓国のゲーム業界の市場規模と特徴

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当ページは韓国のゲーム業界の内情について分析します。韓国は、中国などと同じく著作権意識に乏しい国で、デジタル商品全般で違法コピーが横行しています。ゆえに、ゲームのパッケージソフトの販売で利益を上げる、家庭用ゲーム機の市場規模は約73億円と極めて小さいです。

※データ出典;NTTデータ・H28年コンテンツ産業強化対策支援事業報告書(大韓民国ゲーム白書)

厳密には、上記グラフの「家庭用」はソフトのみの数字であり、ハードの売り上げは不明なので省いています。しかしソフト市場が極めて小規模ゆえに、ハードも大きくは普及していないのは間違いないので、実際の結果は大きく変わらないと考えられます。

それに対し、韓国のオンラインゲーム市場規模は5700億円と巨大です。上記の通り、韓国は海賊版の問題があって家庭用ゲーム機は普及が進んでいませんが、月額課金制度のオンラインゲームならば、海賊版の影響を受けず、ソフトメーカーは確実にユーザーから料金を取れます。それに加え、韓国は国の政策でブロードバンドの普及を推進した事で、2000年には50%に満たなかったネット普及率も、2015年には約90%にまで伸びています。こうした事情もあり、韓国ではパソコンのオンラインゲームが主流となったのです。

しかし、ここ数年は韓国のオンラインゲーム市場規模は鈍化してきているようです。その大きな理由が、2011年に施行されたシャットダウン制(16歳未満の青少年に対し、午前0時〜6時までオンラインゲームの利用を制限する)という法律です。韓国では、ネットを利用する際に住民登録証(日本で言うマイナンバー)が必要のため、年齢制限を掛ける事も可能なのです。

韓国では、子供が長時間オンラインゲームを遊び続けた事で、過労死する等の事故が相次いだ事が問題視され、オンラインゲームのプレイに制限を設ける事が定められたのです。これにより、ユーザーのプレイ時間減少したうえ、国がゲームに対して否定的なスタンスを取った事で負のイメージが付き、業界全体が下火になりました。2015年のオンラインゲーム市場は、上記のシャットダウン制が原因で前年比5%程度のマイナスとなっています。

拡大するスマホ市場とeスポーツ

一方で、韓国のスマホゲーム市場は3600億円と急拡大しています。前年比5%減少のオンラインゲームに比べ、スマホゲームは20%近いプラスです。韓国のスマホ所有率は約85%と世界的に見ても高い水準であり、近い将来、韓国でもスマホゲームが主流になる事が予想されます。

またスマホ市場の内訳を見ると、他国と比較してiOSが極端に少なく、アンドロイドソフトが9割近くを占めているのが特徴です。ご存知のように、韓国はスマホの世界市場で最大シェアを持つサムスンの本国なので、国内でもiPhoneよりアンドロイド携帯が強いのです。

もう一つ、韓国のゲーム業界を語る上で外せないのが、ビデオゲームをスポーツ競技として楽しむ「eスポーツ」の存在です。アメリカや中国で一つの巨大文化として成立しつつあるeスポーツは、実は韓国でも非常に盛んです。

韓国では職業としてのプロゲーマーが発展しており、一流選手のゲームプレイを見て観客が楽しむという、eスポーツの土壌が構築されています。試合内容は、野球やサッカーなどのスポーツと同じように、プロゲーマー同士がゲームで対戦して勝敗を決めるというものです。

上記資料によると、韓国にはプロゲーマーが600人以上存在し、賞金や企業とのスポンサー契約やイベント出演などで稼ぎ、トップ選手の年収は1億円を越えるそうです。eスポーツの盛り上がりは、韓国のゲーム業界の発展に大きく貢献しています。

★関連ページ;eスポーツの市場規模と日本で流行しない理由

最近では日本でもeスポーツの認知度が高まっており、また梅原大吾氏のようなプロゲーマーも生まれるようになってきました。しかし、日本の法律ではゲーム大会で巨額の賞金を出す事が出来ないと解釈されており、大規模なeスポーツ大会は開催されないのが実情です。こうした問題を解決しない限り、日本でeスポーツが普及するのは難しいと思われます。

韓国のゲーム業界の市場規模と内訳まとめ
・韓国は海賊版が多いために家庭用ゲーム機の市場がほぼ無い
・オンラインゲームが主流だったが、近い将来スマホゲームが主流に?
・eスポーツが盛んでプロゲーマーも数多い

日本のゲーム業界の市場規模が約1兆2700億円なのに対し、人口が日本の4割ほど(約5千万人)の韓国が約9300億円もの巨大市場を形成しているのは、オンラインゲームとeスポーツの牽引があったからです。日本には任天堂やソニーなど、ゲーム業界の中心となる巨大企業がある訳ですから、上手く政治サイドを巻き込んで、eスポーツの法整備を整えるべきでは?

 
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