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日本のゲーム業界の市場規模と特徴

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任天堂がファミリーコンピュータを発売したのは1983年の事です。実はファミコンは「世界初の家庭用ゲーム機」ではないのですが、現在まで続く家庭用ゲーム市場の基礎を作ったのは、ファミコンの世界的大ヒットが原因だったことは間違いありません。

20世紀の日本は、任天堂やソニー(プレステ)の活躍で、世界のゲーム業界をリードする存在でしたが、近年の国内家庭用ゲーム市場は縮小が続いており、世界全体の1割程度に止まっています。以下は、日本ゲーム業界の市場規模(2015年)を表したグラフです。

日本のゲーム業界の市場規模

日本の家庭用ゲーム市場規模は3302億円です。これは、アメリカに次ぐ世界第二位の数字ですが、市場規模は年々右肩下がりが続いています。任天堂のDSやWiiの最盛期だった2007年の市場規模が7114億円でしたから、この8年間で半分以下にまで減少している事になります。わずか8年で市場規模が半減するマーケットなど、他業界ではまず見られない異常さです。

一方で、スマホゲーム市場は急拡大を続けており、2015年の市場規模は9453億円となっています。これは、アメリカや中国も上回る世界最大の金額で、日本市場の特徴です。中でもパズドラやモンスターハンターなどが大成功し、テレビCMの効果もあり知名度が高いです。

但し業界としての問題もあります。日本のスマホ市場の規模が巨大な理由は、基本プレイ無料で多くのユーザーを獲得し、ガチャ課金で大金を搾取する仕組みな事です。ガチャ課金とは、いわゆるランダム要素の高いくじ引きであり、1回300〜500円程度支払う事で、低確率でレアなキャラクターやアイテムが入手出来るというシステムです。

しかし当たりの確率は極めて低く、ゲームによっては0.01%以下の超低確率でしか入手出来ないものも珍しくないです。しかも抽選方式がブラックボックス化しており、裏では不正も横行していると言われています。

大多数のユーザーは無料のまま、あるいは小額の課金で遊んででいますが、一部の熱狂的なファンは、レアキャラクター入手のために数十万円単位で大金をつぎ込んでいるのです。ガチャ課金は一種のギャンブル依存症のようなもので、子供が大金を失うなど社会問題となっています。こうした不透明な方法でユーザーがら大金を巻き上げる事で、スマホゲーム市場は拡大を続けているのです。ちなみに海外では、ガチャのような不透明な課金システムは法律で禁止されている国が多いので、日本ほどスマホゲームが流行していないです。

日本のゲーム市場はガラパゴス化している

元々、日本の家庭用ゲーム市場では洋ゲー(海外産のゲーム)が売れない特徴がありました。例えば、洋ゲーの代表作である「Grand Theft Auto」(グランド・セフト・オート)や「call of duty」(コール オブ デューティ)は、世界全体では1000万本〜2000万本も売れる程の大人気タイトルですが、日本での販売本数は50万本程度しかありません。日本の市場規模が世界の1〜2割程度という事を踏まえると、この売り上げは極めて少ないです。

また、欧米や中国や韓国でもメジャーな存在であるeスポーツも、日本では法律の問題などがあり全く流行っていません(⇒eスポーツの市場規模と日本で流行しない理由)。

このように、日本のゲーム市場は昔からガラパゴス化していました。それが近年、スマホゲームの利益率の高さから、ソフトメーカーの多くがスマホに注力するようになり、家庭用ソフトの発売本数は減少しました。日本のゲームしか売れない市場で、日本のソフトメーカーが家庭用ゲームを軽視するようになれば、市場が縮小するのも当然といえます。

日本は海外と比較して携帯ゲーム機が人気で、ニンテンドーDSやPSPなどの携帯ゲーム機は海外よりも普及していました。日本では通勤や通学で電車を利用する人が多く、ちょっとした合間でも楽しめる携帯ゲーム機のシェアが高かったのです。ゆえに、同じように短時間で楽しめるスマホゲームの普及が加速度的に進んだと考えられます。こうした環境の違いも、日本が世界一のスマホゲーム大国であり、市場がガラパゴス化した理由です。

日本のゲーム業界の市場規模と特徴まとめ
・任天堂のファミコンが、テレビゲーム文化を創った
・日本の家庭用ゲーム市場は8年連続の減少
・一方、スマホゲームはガチャ課金により、日本が世界一の市場規模

アメリカやヨーロッパでは、スマホゲームも普及していますが、依然として家庭用ゲーム(特に据え置き機)が主流です。中国をはじめとした新興国も、スマホゲーム市場が急拡大していますが、元々家庭用ゲーム市場は極めて小さく、無視できるほどの存在でした。つまりスマホゲームの拡大で、家庭用ゲーム市場が浸食されているのは、世界でも日本だけの現象なのです。ガチャ課金のような不健全なゲームに、市場を侵食される事を嘆く口コミは多いですが、開発メーカーはより安易に儲かる方へシフトするのが当然なので、この流れは止まらないでしょう。

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