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コンビニ3強のフランチャイズ条件の比較表

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日本における大手コンビニエンスストアは、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの3社による寡占化が進んでおり、この3社で業界シェア全体のおよそ9割を占めています。各コンビニの経営はどのような特徴があるのか、またフランチャイズ店舗を出すなら何処がよいのか?各社の条件を比較してみました(各データは2017年3月時点)。

3大コンビニのフランチャイズ契約比較表
 セブンイレブンファミリーマート ローソン  
全国FC店舗数180711624212191
売上(日販)65.6万円54.0万円51.6万円
契約時の最低必要資金250万円300万円100万円
年齢上限60歳70歳なし
本部へのロイヤリティ
(粗利500万円の場合)
310.0万円303.0万円270.0万円
光熱費負担20% 10%
(年360万円未満)
50%

※データ出典;雑誌「週間東洋経済(2017.4/15号)」、及び各社IR情報。

★関連ページ;コンビニ業界の市場規模と売上の構成比率

コンビニ業界の最大手はセブンイレブンで、店舗数も1店舗あたりの売上高も圧倒的1位です。セブンイレブンが業績を拡大してきた理由の一つが、昼夜問わず商品を充実させた点です。水道光熱費を安く設定し、夜間の弁当販売にも注力し、24時間いつでも客を呼び込める体制を作った事で、売り上げを伸ばしたのです。

その結果、日販(1店舗あたりの1日の売上)はファミリーマートやローソンと比較して10万円以上も高いです。ロイヤリティは他社よりも高い(オーナーの負担が大きい)が、日々の売上も他社より多いというのが、セブンイレブンのフランチャイズ店舗になるメリットです。

近年ではPB(プライベートブランド)にも力を入れています。特に店内でドリップする「セブンカフェ」は、100円という安さでありながら「コーヒー専門店にも負けない美味しさだ」と口コミが広まり、街のカフェや自動販売機から客を奪う事に成功しました。その後、セブンイレブンを真似して他のコンビニも店内ドリップコーヒーをはじめた事が、如何に成功したビジネスモデルなのかを物語っています。

実はコンビニのドリップコーヒーは原価率が高く、セブンカフェは約46円です(同社資料より)。その分高品質・味が良くなるから人気が高いのです。またセルフ式なので、人件費が低く抑えられるため、トータルの利益率は悪くないのです。

なお、2017年現在では全国47都道府県で、沖縄県のみセブンイレブンが展開されていません(2018年に初出店の予定)。これまで沖縄に店舗が存在しなかったのは、ドミナント戦略に反するからです。セブンイレブンがコンビニ業界で勢力を拡大出来た理由の一つが、このドミナント戦略であり、現在では他のコンビニは元より、外食チェーンなどもドミナント戦略を行うことが当たり前になっています。

ドミナント戦略とは、一つの地域に複数の店舗を出店する経営戦略の事です。周辺に同店舗が集中する事で、認知度アップや、人材の融通、配送効率が良くなる等のメリットがあります。

フランチャイズの問題点やリスクも知っておくべき

ファミリーマートは、ローソンを抜いてコンビニ業界2位に躍り出ました。躍進の理由は、同業であったサークルKサンクスとの合併です。ファミマはサークルK以前にも、am/pmとも合併したので、経営規模の拡大によってNO.2になれた訳です。

ファミマは多業種とのコラボ企画が、経営戦略として特徴的です。店内BGMは、提携しているアーティストの音楽を常に流しています。またダイエットで一世を風靡した「ライザップ」とコラボし、糖質カットしたダイエット商品を売り出して話題となりました。「コンビニのPB商品はセブンプレミアムが最強。ファミマプレミアムは味が劣る」という口コミが多いですが、話題性や宣伝戦略でセブンを追いかける経営戦略なようです。

業界3位に転落したローソンは、フランチャイズ契約内容の見直しを進めています。例えば、これまでは契約資金が250万円必要だったところを、100万円に減額する措置がとられました。また、以前はフランチャイズオーナーは65歳までという年齢制限がありましたが、撤廃されて無制限になりました。日本のコンビニ出店余地は飽和状態に近づいている事や、ファミマに抜かれて業界3位に落ち込んだ事で、経営陣に危機感があるのでしょう。フランチャイズ契約のハードルが下がった事は、出店したいオーナーにとっては喜ばしい事です。

ローソンもプライベートブランド商品を数多く展開しています。しかし、単に高級路線で勝負するのではなく、例えば低カロリーで食物繊維が多いブラン系のパン類など、食品としての機能性を前面に出した商品を展開し、セブンやファミマとの差別化を図っています。

ちなみに、ローソンの看板には牛乳のマークが描かれていますが、これはローソンが元々牛乳屋だった事の名残です。かつてアメリカのオハイオ州では、ローソンという人物が牛乳屋を営んでいましたが、客の要望で日用品などを幅広く取り扱うようになった事で、新たにローソンミルク社という会社が設立される事になりました。これが現在まで続くローソンの前身です。

コンビニ3強のフランチャイズ条件比較まとめ
・セブンイレブンはロイヤリティが高いが、売り上げ(日販)も最大
・ファミリーマートは多業種とのコラボが特徴
・ローソンはフランチャイズ契約条件が緩和された

フランチャイズ契約する上での注意点は、加盟店と本部の間でトラブルが起こりがちな事です。本部は加盟店に対し、特定商品(おせちや恵方巻き等)の過酷な売上ノルマを強いている事がTwitter等の口コミで広まり、社会問題となりました。本部が効率化を重視して過度なドミナント出店を進めるせいで、近隣に同じコンビニが乱立しすぎて、需要を食い合って共倒れする問題も深刻化しています。

また近年では、アルバイトの賃金も上昇傾向にあり、24時間営業を維持するためにオーナー自身も長時間接客し続けねばならないという「過労問題」も深刻です。宅配受け取りや公共料金・税金の振り込みなど、コンビニのサービスは年々拡大・多様化しており、店員の負担は増える一方です。「コンビニバイトは割に合わない」という口コミが若者に広まっており、都心部ではアルバイトを外国人留学生に頼らざるを得ない状況です。

いずれにせよ、フランチャイズは圧倒的に本部の立場が強い契約を強いられます。本部とフランチャイズ店舗は、共闘態勢のように見えて、実は利益相反の側面も強いのです。コンビニのフランチャイズオーナーを目指す人は、このようなリスクも十分に理解しておくべきです。

 
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