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冷蔵庫の世界市場と日本での販売シェア比較

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現代社会の生活必需品であり、白物家電の代表でもある冷蔵庫。近年では中国やインドなど新興国でも電力インフラが整ってきた事で、多くの国で冷蔵庫が利用されるようになっています。以下で、世界市場と日本市場における、冷蔵庫のメーカー別シェアを比較してみます。最初のグラフは、グローバル市場での各企業の販売台数の割合です。

世界市場での冷蔵庫シェア

※データ出典;書籍「日経業界地図・2017年版」

世界市場のシェアを見ると、中国のハイアールや、韓国のLGやサムスンなどのシェアが高く、日本企業のシェアはランキング外です。冷蔵庫は基本的に食品を冷やすだけの製品であり、高付加価値を求めるニーズが薄いです。そのため、性能を重視して価格が高い日本企業の製品は、世界では想像以上に売れていないのです。

日本企業の過剰な性能の例として、扉が左右どちらにも開く、両手が塞がっている時でもポンと触れるだけで自動で扉が開くタッチオープン、大根や長ネギなどもそのまま収納出来る広々とした野菜室、内部照明がLEDライトで明るく見やすい、プラズマクラスターによる除菌効果、などが挙げられます。

このように様々な機能が備わる事は、良く言えば高付加価値商品ですが、別になくても困らない「無駄な」機能とも言えるのです。日本製の冷蔵庫は年々高価格化してきましたが、多機能よりも値段の安さが最重要と考える新興国市場では、人々の選択肢から漏れてしまうのです。

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日本市場での冷蔵庫シェア

一方の日本市場の販売台数では、パナソニック、シャープ、日立などの大手企業が上位を占めています。世界市場で上位シェアのハイアールやサムスンは、日本では全く売れていません。日本の消費者が「中国製・韓国製の商品=低品質」というイメージを持っているる事が理由ですが、携帯電話やテレビ市場と同じく、日本は冷蔵庫市場もガラパゴス化しているとも言えます。

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日本の携帯電話は、絵文字、ワンセグ、お財布ケータイなど、海外にはない独自の機能を備える事で発展してきましたが、iPhoneの登場でガラケーは衰退し、携帯電話市場を席巻される羽目に陥りました。近年では「IOT」などという阿呆な流行に乗り、冷蔵庫をインターネットに繋ぐという無意味極まりない機能にまで手を出し始めています。日本企業は、冷蔵庫でも携帯電話と同じ失敗を繰り返しているのです。シャープが倒産寸前まで追い込まれた理由も、プラズマクラスターを筆頭とした「無駄なモノ作り」に拘りすぎた事です。

冷蔵庫のメーカー別シェア:日本と世界の比較まとめ
・冷蔵庫の世界市場はハイアールやサムスンなどのシェアが高い
・日本市場はパナソニックやシャープなどがガラパゴス化
・日本製の冷蔵庫は、無駄な機能が付いて価格が高いため、海外で売れない

中東やアフリカ向けの冷蔵庫は、鍵が付いている製品も多く発売されています。これは、使用人の持ち出し(盗難)を防ぐための措置という事です。こうした仕組みは、日本では考えられない、新興国ならではの事例です。日本企業は、冷蔵庫をインターネットに繋ぐなどのマヌケなアイディアなど捨て、ローテクでも新興国の事情にあった商品を開発する方が、よほど販売台数が稼げて利益が増えるのではないでしょうか?

プログラマーの世界では、昔から「冷蔵庫がネットに繋がったら、ハッキングされて中の物が腐るぞ!!」という風刺ギャグが存在しました。その笑い話が現実になろうとしています・・・。

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