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ヨーロッパのゲーム業界の市場規模と内訳

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ヨーロッパのゲーム市場は、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアの5カ国で全体のおよそ9割を占めています。以下は、CESAゲーム白書による2015年のヨーロッパのゲーム業界の市場規模と内訳を表したグラフです。

ヨーロッパの家庭用ゲーム市場規模は1兆879億円で、これはアメリカの1兆2259億円に匹敵する数字です(⇒アメリカのゲーム業界の市場規模と内訳)。実は1990年代前半まではヨーロッパのゲーム市場は小規模なものでしたが、ソニーがプレイステーション(以下プレステ)を発売してから急拡大しています。

任天堂が1983年に発売した、ファミコンの世界累計販売台数は6191万台です。国別の内訳では、日本が1935万台、アメリカが3400万台、それ以外の地域が856万台です。そのおよそ10年後の1994年、ソニーはプレステを発売しました。プレステの日本での累計販売台数は約1900万台、アメリカでは約4000万台と、共にファミコンと大きな差はありません。しかし、プレステの欧州の販売台数は約4100万台でした。

  日本 アメリカ その他(ほぼ欧州) 合計
ファミコン 1935万台 3400万台 856万台 6191万台
プレステ 1900万台 4000万台 4100万台 1億台

かつての任天堂はヨーロッパ市場に販路を持っていなかったため、イギリスやフランスなどでファミコンが大きく普及する事が無かったのです(発売自体はされていたが売上は伸びなかった)。一方、ソニーは家電メーカーとして世界中に販路を持っていたので、プレステのヨーロッパでの販売もスムーズに進みました。この違いが、ファミコンとプレステの販売台数に4000万台の差が生まれた大きな理由です。

このように、日本やアメリカではファミコンがゲーム市場の基礎を作ったのに対し、ヨーロッパではプレステがその草分け的な存在となっています。そのため現在でも、ヨーロッパ市場ではソニー製ハードの人気が高い傾向があります。

欧州のゲーム市場は受け身〜日本やアメリカの輸入頼み

現在、世界的にゲームハードを販売しているのは、日本の任天堂とソニー、そしてアメリカのマイクロソフトの3社しかありません。ヨーロッパの家庭用ゲーム市場規模は、アメリカに匹敵する程に巨大ですが、自らハードを作ろうとする会社は存在しないのです。

ハードだけでなく、家庭用ゲームソフトで世界的に活躍している欧州企業は、フランスのUbisoft(ユービーアイソフト)ぐらいしかありません。つまりヨーロッパの各国は、自らソフトやハードを生み出してゲーム業界を開拓する意志がなく、日本やアメリカなどで人気のゲームを輸入して楽しむという、受け身の姿勢の市場だと言えます。

一方で、ヨーロッパのスマホゲーム市場は4627億円で、1兆円近い規模の日本やアメリカと比較して小さいです。ただし、受け身で開発が進まない家庭用市場とは異なり、スマホ市場ではクラッシュ・オブ・クランのSuperCell(フィンランド)や、キャンディクラッシュのKing(スウェーデン)など、世界的なヒット作を生み出している会社もあります。今後はヨーロッパ市場でも、スマホゲームのシェアが拡大していく事が予想されます。

ヨーロッパのゲーム業界の市場規模と内訳まとめ
・欧州のゲーム市場は、イギリスやフランスなど5カ国で9割近いシェア
・家庭用ゲームの市場規模は、世界最大のアメリカに匹敵する
・スマホゲームの市場規模は、日米よりも小さいが伸びる可能性あり

最後に、データ上ヨーロッパをひとまとめにしていますが、実際には多くの国の集合体です。しかし前述の通り、ヨーロッパ市場の内訳はイギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアの5カ国でシェア全体の9割を占めています。

スウェーデンやフィンランドなどの北欧や、ベネルクス三国などは、各国とも人口が1千万人以下と経済規模が小さいです。しかしゲームソフトを販売するには、国によって言語や法律に違いがあるので、ローカライズ(国に合わせて翻訳および表現を調整する事)の作業が必要です。ゆえに、5カ国以外のヨーロッパ市場は、開発の手間が掛かるために、ゲームメーカーにあまり重視されていないのが実情です。

 
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