HOME > 文化と歴史 > 日本人に海外旅行で人気の国ランキング
近年の日本は、外国からの観光客(インバウンド)が増加しています。2007年のインバウンドは約800万人でしたが、2017年には2800万人と、10年間で約3.5倍に増えているのです。
一方で、日本人の海外旅行(アウトバウンド)は、この20年間1700万人程度でほぼ一定です。日本は1964年に海外旅行が自由化された事で、その後のアウトバウンドは年々増加していました。しかし2000年以降は頭打ち状態で、大きな増減が見られなくなっています。
以下は、日本人に人気の海外旅行先の国ランキングです。
日本人の海外旅行先ランキング | |||
順位 | 国名 | 旅行者数 | 前年比 |
1位 | アメリカ | 357万人 | -18万人 |
2 | 中国 | 258 | +9 |
3 | 韓国 | 231 | +2 |
4 | 台湾 | 189 | +5 |
5 | タイ | 154 | +13 |
6 | シンガポール | 84 | ±0 |
7 | 香港 | 81 | +7 |
8 | ベトナム | 79 | +10 |
9 | ドイツ | 58 | +4 |
10 | フィリピン | 58 | +5 |
※ソース=Wikipedia。アメリカ・中国・シンガポールは2016年、それ以外の国は2017年の数値。
日本人に人気の海外旅行先ランキング1位は、アメリカの357万人です。ただし、ハワイが約150万人、グアムが約74万人なので、アメリカ本土への旅行者は全体の3分の1程度です。ハワイやグアムは、昭和の時代から新婚旅行・ハネムーンの定番であり、現在でも人気が高いです。とはいえランキングトップ10の中で、旅行者数が前年比マイナスなのはアメリカだけです。
海外旅行先のランキング2位は中国の258万人、3位が韓国の231万人です。その他も台湾や香港など、ランキングの上位は東南アジアの国が多いです。つまり日本からの距離が近く、飛行機料金や移動時間が少ない国ほど、旅行者数が多い傾向にあります。実はインバウンドも、中国や韓国など日本の近隣の国が大半を占めています。
他に、東南アジアへの海外旅行が多い理由は、旅行会社のパッケージツアーの存在です。海外旅行する場合、個人で勝手に航空券やホテルを手配するよりも、旅行会社のプラン通りに回るパッケージツアーの方が料金が安いです。旅行会社は、中国や韓国といった日本に近い国をツアーに設定している事が多く、南米やアフリカなど遠方の地域は少ないです。
旅行先 | 日本からの距離 | 所要時間 | 飛行機料金 |
ハワイ | 6511km | 7時間 | 4〜5万円 |
グアム | 2548km | 3.5時間 | 3〜4万円 |
ニューヨーク | 10864km | 13時間 | 5〜6万円 |
ドイツ(ベルリン) | 9127km | 12時間 | 6〜7万円 |
中国(北京) | 2100km | 4時間 | 3万円 |
韓国(ソウル) | 1159km | 2.5時間 | 1万円 |
台湾(台北) | 2202km | 4時間 | 2〜3万円 |
前述の通り、日本のインバウンドは多くなっているものの、海外へ行くアウトバウンドは大きな変動がありません。
海外旅行があまり増えていない理由の一つは、円安です。ドル円の為替レートは、2008年のリーマンショック〜2011年の東日本大震災の頃には、1ドル=80円割れの超円高でした。2019年現在は1ドル110円程度なので、当時と比較すると3割近い差があった訳です。円安になればなる程、海外旅行での出費は増えるので、景気が回復しても海外旅行に行く人は増えなかったのです。
他には、少子高齢化の影響もあります。海外旅行に興味を持つ人は、高齢者よりも若者の方が圧倒的に多いので、高齢化で海外旅行が減るのは必然です。また少子化によって結婚数も減っているため、新婚旅行で海外に行く機会も少なくなっている影響もあるでしょう。
日本人に海外旅行で人気の国ランキングまとめ
・日本人に人気ナンバーワンの国はアメリカ(特にハワイ)
・ランキング上位は中国や韓国など日本の周辺国が多い
・円安や少子化の影響で、海外旅行の絶対数は増えていない
近年はLCC(格安航空会社)の登場で安い料金で海外旅行に行けるようになった事、また高校の修学旅行先が海外というケースも多くなっていますが、アウトバウンドはあまり増えていません。しかし海外旅行に行く行為は、国内の金が海外に流出するので「国益の損失」です(逆にインバウンドは外貨獲得=儲け)。海外旅行に行く日本人がもっと減り、その分国内旅行が増える事が、日本国全体で見れば最も理想的です。