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近年は、日本人のテレビ離れが進んでいます。昔の人気番組は視聴率20%や30%は当たり前でしたが、近年は10%あれば良い方だ・・・という業界人の嘆きの口コミも聞かれます。テレビ離れの理由は、YouTubeやニコ動などネット動画が広まった事、スマホのLINEやインスタなど娯楽が増えた事、そしてテレビ番組自体が低品質化が著しい事、などが挙げられます。
そんなテレビ番組ですが、日本における歴代視聴率をランキングにしました。
テレビの歴代視聴率ランキング | ||||
順位 | 番組名 | 放送日 | チャンネル | 視聴率 |
1位 | 第14回 NHK紅白歌合戦 | 1963年12月31日 | NHK | 81.4% |
2 | 東京オリンピック 女子バレー | 1964年10月23日 | NHK | 66.8 |
3 | サッカーワールドカップ 日本×ロシア | 2002年6月9日 | フジテレビ | 66.1 |
4 | プロレス デストロイヤー×力道山 | 1963年5月24日 | 日本テレビ | 64.0 |
5 | ボクシング 原田×エデル・ジョブレ | 1966年5月31日 | フジテレビ | 63.7 |
6 | おしん | 1983年11月12日 | NHK | 62.9 |
7 | サッカーワールドカップ 日本×クロアチア | 1998年6月20日 | NHK | 60.6 |
8 | ボクシング 原田×アラン・ラドキン | 1965年11月30日 | フジテレビ | 60.4 |
9 | ついに帰らなかった吉展ちゃん | 1965年7月5日 | NHK | 59.0 |
10 | ミュンヘンオリンピック | 1972年9月8日 | NHK | 58.7 |
日本のテレビで歴代最高の視聴率だった番組は、1963年に放送された第14回NHK紅白歌合戦で、その視聴率は81.4%と歴代でもダントツ1位となる数値です。
上記の歴代ランキングでは最も視聴率が高かった第14回のみを挙げましたが、紅白歌合戦は他の年でも60〜70%の視聴率を何度も出しています。日本の年末の風物詩として、多くの人に親しまれてきた番組ですが、最近10年程の視聴率は40%前後です。他番組と比較すれば十分高い数字とはいえ、昔ほどの人気は無くなってきています。
歴代視聴率ランキングの2位は、1964年東京オリンピック・女子バレーの視聴率66.8%です。当時の女子バレーボールチームは、時間差攻撃や回転レシーブなど、斬新な戦術を取り入れて「東洋の魔女」と呼ばれていました。東京オリンピックでの最終戦、日本はソ連に勝利して念願の金メダルを獲得しましたが、この試合で記録した視聴率66.8%は、日本のスポーツ中継としては歴代最高記録で未だ破られていません。
ランキング3位は、2002年に行われたサッカーワールドカップ・日本×ロシア戦で、視聴率は66.1%でした。日本はこの第二戦でロシアに勝利し、ワールドカップの本大会で初勝利を飾った記念すべき試合でした。2002年の日韓ワールドカップは自国開催なため、時差が無くリアルタイムで視聴しやすい条件だった事が、高視聴率に繋がりました。
上記ランキング表を見ても分かる通り、上位の大半は1960年代というテレビ黎明期の番組なので、そこに食い込んでいるワールドカップの2試合は例外中の例外です。今後もテレビ離れは加速するので、もう二度とこのランキングトップ10が更新される事は無いでしょう。
ちなみに野球で最も高い視聴率は、1994年10月8日の中日ドラゴンズ×巨人戦、通称10.8決戦です。この試合は、日本プロ野球史上で初めて、リーグ戦の最終戦で勝率が同率首位のチームが直接対決するという、優勝決定戦でした(勝利したのは巨人)。視聴率は48.8%で、これは歴代の日本シリーズ・オールスターゲーム・WBCをも上回る、日本の野球史上最も高い視聴率です。
上記ランキングには入らなかったものの、条件を変えれば非常に高い視聴率だったケースとして、1972年2月に発生した「浅間山荘事件」の中継があります。これは、連合赤軍が軽井沢の浅間山荘に人質をとって立てこもった事件であり、機動隊との激しい抗争が連日テレビで中継されていました。事件が解決した2月28日の視聴率は、民放とNHKを合わせると89.7%に達し、紅白歌合戦をも超える数字を記録しています。
バラエティ番組としては、ザ・ドリフターズ主演の「8時だョ!全員集合」も高視聴率を記録しています。全803回放送の平均視聴率は27.3%で、最高視聴率は50.5%です。紅白歌合戦やオリンピックのような特別番組ではなく、毎週放送される番組での視聴率50%超え、また14年もの長期にわたり放送した番組の平均視聴率が27%というのは、驚異的だと言えます。
ちなみに、全員集合の裏番組として人気を二分していた「オレたちひょうきん族」は、8年間の平均視聴率は17.8%でした。ビートたけし、明石家さんま、島田紳助など、多数の人気芸人が出演していたひょうきん族も、ドリフの全員集合には視聴率で歯が立たなかったのです。
アニメでも、トップ10には入らなかったものの、高視聴率を記録した作品は多いです。以下は、歴代のアニメ視聴率のランキングベスト5です。
アニメ歴代視聴率ランキング | ||||
順位 | 番組名 | 放送日 | 放送局 | 視聴率 |
1位 | 鉄腕アトム | 1964年1月25日 | フジテレビ | 40.3% |
2 | ちびまる子ちゃん | 1990年10月28日 | フジテレビ | 39.9% |
3 | サザエさん | 1979年9月16日 | フジテレビ | 39.4% |
4 | Dr.スランプ アラレちゃん | 1981年12月16日 | フジテレビ | 36.9% |
5 | オバケのQ太郎 | 1966年4月24日 | TBS | 36.7% |
アニメの歴代視聴率ランキング1位は、手塚治虫の代表作「鉄腕アトム」の40.3%です。鉄腕アトムは国産アニメの第一号でもあり、その後のアニメ業界に大きな影響を与えた作品です。
※鉄腕アトム(手塚プロ公式動画)
3位のサザエさんは、1969年から2018年現在まで50年間も放送が続いており、世界で最も長く放映されているテレビアニメとしてギネスブックに登録されています。日曜日の夜『また明日から仕事だ・・・』と鬱になる事をサザエさん症候群と言われたり、婿養子を「マスオさん(※注)」、バーコード禿を「ナミヘイ」、猫を「タマ」と呼ぶなど、サザエさんが日本の文化に根付いている事を示す事例は枚挙に暇がないです。
※注;実際のマスオの設定は婿養子では無い(磯野ではなく「フグ田」性を名乗っている)。
4位は鳥山明の「Dr.スランプ アラレちゃん」です。鳥山明の作品としては「ドラゴンボール」の方が有名ですが、こちらの最高視聴率は29.5%に留まっています。ドラゴンボールがアラレちゃんよりも視聴率が低かったというのは、意外な結果ですね。
実はアニメ等のエンタメ番組では、視聴率にまつわる不可思議なエピソードも多いです。例えば、ロボットアニメの金字塔「機動戦士ガンダム」は、初回放送時はあまり人気が無く、43話で打ち切りになっています。しかし、最初の再放送で13.12%、2回目で17.85%、3回目で19.40%と、再放送される度に視聴率が増えるという、普通では考えられない推移を記録しています(詳しくはガンダム関連商品の市場規模推移の後半を参照)。
また、特撮番組として誰もがその名を知る「ウルトラマン」は、平均視聴率36.8%・最高視聴率42.8%を記録するなど、大人気番組でした。しかしウルトラマンは、予算やスケジュールの問題で撮影が難航し、大人気なのに39話で打ち切られたという、希有な番組でした。
日本の歴代テレビ視聴率ランキングまとめ
・歴代最高視聴率だった番組は1963年のNHK紅白歌合戦の81.4%
・ランキング上位の大半は、娯楽が少なかった1960年代の番組
・ガンダムやウルトラマンには、視聴率の変わった逸話が残る
余談ですが、1958年放送の特撮番組・月光仮面が視聴率67.8%を記録した・・・というネットの口コミ情報もあります。しかし、ソースが曖昧で信憑性が薄い事、また第何話の放送なのかすら不明な事などもあって、デマの可能性が高い話だと思われます。