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世界市場と日本でのエアコン販売シェア比較

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ご存知のようにエアコンは、冷暖房機能を備えた空調装置の事です。冷房機能しか備わっていなかった1950年代の日本ではクーラーと呼ばれていましたが、近年ではコンシューマ向けの全ての製品が冷暖房完備のタイプです。

昨今は(地球温暖化が本当かどうかはともかく)ヒートアイランド現象で、世界的に都心部の気温が上昇しており、夏場の冷房はほぼ生活必需品となっています。以下のグラフは、そんなエアコンの世界および日本のメーカー別販売シェアを比較したものです。

※データ出典;書籍「日経業界地図・2017年版」

エアコンの世界での販売台数は約7億7千万台(2015年)でした。販売台数ランキング1位は中国の珠海格力電器。2位以下もハイアールなど大半が中国企業で、世界市場での中国企業のシェアは50%を超えています。

世界の家電市場では近年、中国や韓国企業のシェアが高くなっていますが、テレビ、冷蔵庫、洗濯機といった主要な家電は、アメリカやヨーロッパの企業もランキング上位に食い込んでいました。しかし、エアコンについては中国(と韓国のLG)以外の企業はその他扱いであり、市場占有率が圧倒的です。

中国企業のシェアが高い理由は、人口が多い中国国内で強い事と、東南アジアやインドなどの新興国でも売り上げを伸ばしているためです。日本やアメリカなどの先進国では、家にエアコンがあるのが当たり前なので、販売数は頭打ちしています。一方、気温の高いインドや東南アジアは人口増加と経済成長の真っ最中で、ヒートアイランド現象が加速しているので、エアコンの普及も急激に進んでいます。これら新興国では、価格の安い製品が好まれる傾向なので、安い中国メーカーがシェアを拡大しているのです。

一方で、日本国内では年間800万台強のエアコンが販売されています。そして世界市場では50%以上を占めていた中国企業ですが、日本では全くランクインしておらず、パナソニックや日立といった国内企業が高いシェアを獲得しています。

エアコンに限らず、テレビや冷蔵庫など大半の家電と同じで、日本国内のシェアは世界と比較して大きな乖離があり、市場はガラパゴス化しています。洗濯機などは日本国内でも、中国のハイアール製品などが販売・購入されていますが、エアコンは新興国企業のシェアはほぼゼロで、日本企業がマーケットを独占しており、よりガラパゴス化が鮮明です。

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そんな日本のエアコン市場で珍しい存在なのが、ダイキン工業です。パナソニックや三菱電機といった総合家電メーカーを相手に、空調と冷蔵庫専門のメーカーであるダイキンがシェア2位を獲得しています。ダイキンと言えば、昭和の時代までは『業務用製品の専門企業』というイメージでしたが、1999年に発売したエアコン「うるるとさらら」のヒットにより、コンシューマ向けでもシェアを増やし始めた経緯があります。

うるるとさららのマスコットキャラクター「ぴちょんくん」が話題となり、ぬいぐるみ、マグカップ、携帯ストラップなどのグッズ化、更にはCDデビューなど、昨今のゆるキャラブームに繋がる人気を見せました。ぴちょんくんのおかげで、ダイキンのエアコンが一般向けにも知名度が高まり、売り上げを大きく伸ばしたのです。

日本の家電業界では、前例の無いシェア拡大のパターンであり、マーケティング戦略として面白い題材です。ちなみに2016年のダイキンの売上高は約2兆円です。

日本と世界のエアコンシェアまとめ
・エアコンの世界市場は中国企業が50%以上を占めている
・日本市場はパナソニックなどの国内企業中心で、中国のシェアは低い
・ダイキンは「ぴちょんくん」の人気で業務用専門から脱却した

なおエアコンは、こまめに電源のオンオフを切り替えるよりも、付けっぱなしにした方が電気代が安くなります。エアコンは室温を設定温度にまで下げるために多くのエネルギーが必要で、その後は微弱運転で温度を一定に保つようになります。つまり、エアコンは運転直後が最も電気代が掛かるので、例えばお風呂などで30分〜1時間程度だけ部屋を離れるのなら、電源を切らず付けっぱなしの方が、むしろ経済的だという事です。

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