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日本国内の自動車保有台数の長期推移

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近年、日本では車離れが進んでいます。自動車の価格は昔と比較して高くなっており、長引く不況の影響もあって、車を買わない人(特に若者)が増えているのです。また、かつては車を所有する事がステータスな時代もありましたが、現在ではそういった憧れも希薄になっている事が、車離れに拍車を掛けています。

確かに新車販売台数は頭打ちなのですが、実は車の「保有台数」は年々増加傾向にあります。以下の表は、戦後の日本における自動車保有台数の推移です。

日本の自動車保有台数の推移
乗用車保有台数 四輪車総合計
1945年 2.5万台 14万台
1950 4.5万台 33万台
1955 15万台 90万台
1960 45万台 217万台
1965 218万台 698万台
1970 877万台 1782万台
1975 1723万台 2813万台
1980 2365万台 3787万台
1985 2784万台 4616万台
1990 3492万台 5770万台
1995 4468万台 6685万台
2000 5243万台 7264万台
2015 約6000万台 約8000万台

ソース:物価の文化史事典(展望社)。四輪車総合計は「商用車」を含めるという意味。

保有台数というのは、現役で稼働できる自動車の数(要はナンバープレートが付いた車)を意味します。買い換えられた古い車が、廃車にされずに中古車として流通していれば、国内の保有台数は減らない事になります。

1945年の日本の乗用車保有台数はわずか2.5万台でした。その後は高度経済成長と共に車の所有者が増加し、1970年代には1000万台を突破、そして2015年にはおよそ6000万台となっています。2018年現在の日本の人口はおよそ1億2600万人なので、概ね2人に1人が車を保有している事になります。

「車離れ」というテレビ報道に反して、保有台数が増えているのは、車の買い替えサイクルが長くなっているためです。その証拠に、1990年代は車の買い替えは6.5年程度のサイクルでしたが、近年ではおよそ8年まで延びています。また日本車は精密で故障が少ないので、中古車として再利用される率が高く、廃車にされるまでの期間が長くなっているのです。国内自動車メーカーの技術進歩が、保有台数の増加に繋がっているのです。

地方では車は生活必需品になった

もう一つ、地方での車の保有率が高まっている事も影響しています。東京や大阪など都市部では、電車やバスなどのインフラが整っているため、個人で車を所有しなくても、日常生活に不便はほぼありません。近年では、タイムズなどのカーシェアリングサービスが拡大しているので、都会では車を所有しない人が増加傾向にあります。

※タイムズカープラスの会員数は、サービス開始当初の2009年ではわずか1000人程度でしたが、車両数の増大やサービス地域の拡大などを行い、会員数は2012年に10万人、2015年に50万人、そして2018年には100万人の大台を突破しています。

一方の田舎では、公共の交通機関があまり整備されておらず、またカーシェアリングサービスも広まっていないため、車を所有していないと移動が極めて困難です。

加えて近年は、田舎にもイオンモールなど大規模店舗の進出が著しく、地元の商店街は潰れ、車で巨大ショッピングセンターに行かなければ買い物できない社会構造に変化してきています。アメリカの車社会拡大が、巨大モール=ウォルマートの勢力拡大に比例してきたのと同じ事が、日本でも起きているのです。

1世帯当たりの自動車保有台数
順位 県名 台数
1位 福井 1.71台
2 富山 1.67
3 山形 1.66
  全国平均 1.04
45 神奈川 0.71
46 大阪 0.64
47 東京 0.44

自動車検査登録情報協会が発表している都道府県別の自動車保有台数データを基に、世帯当たりの保有台数を算出すると、1位の福井県(1.71台)を筆頭に、上位は地方・田舎が占めており、ブービーは大阪、最下位は東京でした。

このように、車の保有率は地域によって大きく違っており、田舎では「生活の必需品」となっているため、車離れどころか「一人一台」という家庭も増えている位なのです。但し、あくまで日常生活使いなので、大半は軽自動車やコンパクトカーだという特徴もあります。また新車ではなく中古車を購入する人も多いので、自動車メーカーには決して良い状況とは言えないのです。

余談ですが、女優の伊藤かずえさんが、初代の日産シーマを20年以上乗り続けている事は、度々テレビで取り上げられて有名です。しかし、愛車を長く乗り続けてくれるよりも、さっさと新車に買い換えてくれる「乗り捨てユーザー」の方が、メーカーにとっては売上が増えるので有難い客です。合成の誤謬の一種ですね。

日本国内の自動車保有台数の長期推移まとめ
・日本は車離れが進んでいるが、保有台数は増加している
・車の買い替えサイクルが長期化している事が理由
・田舎では車が必需品だが、軽自動車や中古車が多い

このように、日本では「車離れ」と報じられても、保有台数は増加を続けています。しかし一方で、少子化で人口減少が進んでいるため、一年間の自動車販売は頭打ち状態です。

海外では途上国を中心に車の販売台数が増えており、特に中国は2009年にアメリカを抜いて、自動車販売台数世界一となりました。2017年の自動車販売台数は、日本が約520万台、アメリカが約1700万台、中国が約2900万台です。そのため日本の自動車メーカーは、アメリカや中国など海外販売に注力し、国内市場がおざなりにされる傾向です。

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