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世界市場と日本でのパソコン販売台数と将来の展望

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世の中にパソコンが普及するきっかけとなったのが、1995年にマイクロソフトが発売したwindows95です。以後20年で、パソコンはほぼ生活必需品と言えるまでに普及しました。世界のパソコンOSはwindowsが90%以上を占める一強状態で、macOSやUbuntuやChromeOSなども伸びてはいますが、ウインドウズが余りに強すぎて市場シェアは小さいままです。

以下は、2015年の世界全体でのパソコン販売台数とメーカー別シェアを表したグラフです。

世界のパソコン販売台数と企業シェアグラフ

※データ出典;書籍「日経業界地図・2017年版」。下も同様。

世界全体でのパソコンの年間販売台数は約2億7600万台でした(厳密には出荷台数ですが、ほぼイコールです)。ランキング1位は中国のレノボグループで、2位はアメリカのHP(ヒューレットパッカード)、3位も同じくアメリカのDell(デル)で、日本企業は全てランク外です。

実は2000年頃までのパソコン市場では、東芝やNECなどの日本企業が多くのシェアを占めていましたが、2000年台中期以降は中国や台湾などの低価格パソコンが主流となり、日本企業のシェアは激減しました。シャープ、日立、京セラなど多くの企業がパソコン市場から撤退、富士通はレノボとのパソコン事業統合を進めるなど、日本企業の生き残りは困難な状況となっています。

なお、世界のパソコン市場の成長は鈍化傾向ですが、ゲーミングパソコン(ゲームプレイに特化したパソコン)については将来性が特に高いマーケットとなっています。Jon Peddie Researchの調査によると、2015年の世界のゲーミングパソコンの市場規模は246億ドル(約2兆8千億円)でしたが、2016年には303億ドル(約3兆5千億円)と大幅に伸びています。

近年のゲーム市場はスマホが主流になっているものの、ハイエンドなパソコンゲームを楽しむマニアは居て、特にオンラインゲームが盛んな中国や韓国では数多いです。

★関連ページ;中国のゲーム業界の市場規模と内訳 韓国のゲーム業界の市場規模と特徴

昨今のテレビゲームのグラフィックは、実写とほぼ変わらないレベルにまで進化しているため、ゲーミングパソコンには性能の高いグラフィックボード等が搭載されています。それらが製品単価を押し上げ、市場規模を巨大なものにしています。

日本のパソコン市場は他の家電同様、ガラパゴス化している

一方の日本市場でのメーカー別パソコン販売台数シェアです。日本では年間1千万台ほどのパソコンが販売(厳密には「出荷」)されています。

日本のパソコン販売台数と企業シェアグラフ

日本は、1位がNECレノボジャパン。2位が富士通、3位が東芝と、上位は日本企業で占められています。テレビ冷蔵庫など多くの家電製品について、日本のシェアは世界とは大きく異なるガラパゴス市場になっていますが、それはパソコン市場にも当てはまっています。

※ちなみに、街中のカフェ〜特にスターバックスでは、MacBookで仕事する人(ノマド族)をよく見かけますが、マッキントッシュのシェアは約7%(およそ70万台)に過ぎません。iPhoneの大ヒットでマックユーザーは確かに増えましたが、それでも明らかに少数派なのです。

日本のパソコン市場規模は、2000年代後半から2013年までは拡大していました。特に2013年は、マイクロソフトのwindowsXPサポート終了に伴う法人PCの買い替え需要があり、売上は過去最高規模でした。しかし、その後はWindows10の使い勝手の悪さや、スマホ普及の影響などで、パソコン販売台数は減少傾向にあります。2016年時点の日本人のスマホ所有率は7割を超えており、ネット検索など大抵の機能はスマホで利用出来る事から、一般人〜特に若者のパソコン離れが進んでいるのです。

スマホの普及で煽りを喰らっている市場は、デジカメや家庭用ゲームなど色々ありますが、パソコンもその一つと言えます。

世界と日本のパソコン市場規模と将来の展望まとめ
・世界のパソコン市場は、中国や台湾企業の販売台数が多い
・国内市場は富士通や東芝など日本企業ばかりで、ガラパゴス化
・実は世界的には、パソコン市場はオワコンでは無い

ただし、上記のようにスマホの普及で「パソコンなんてオワコンだ」と思っている人が日本には多いですが、世界的にはまるで違います。実はマイクロソフト社の売上は近年も伸び続けているのです(2017年決算は5.4%増)。確かに一般ユーズはスマホに浸食されつつありますが、企業向けのビジネスユーズは伸びており(スマホの極小画面だけで仕事はできないから)、また新興国での売上も増加しているからです。

前述のように、ゲーミングPCなど伸びている分野もありますので、テレビやデジカメなどの明確なオワコン産業とは明らかに異なります。日本のようなガラパゴス市場から世界を眺めても、将来の展望を見誤るという典型例です。

 
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