HOME > 経済 > 世界と日本のテレビのシェア比較
テレビは世界中で普及している家電であり、インターネットが発達した現在でも多くの国で「娯楽の王様」として愛されています。近年は新興国でも、ブラウン管型から液晶やプラズマなどの薄型テレビへとシフトしています。しかし世界と日本では、シェア上位の企業が大きく違っているので比較してみます。
※データ出典;書籍「日経業界地図・2017年版」。後述の日本国内シェアも同様。
まず上記グラフは、世界全体での薄型テレビのシェアです。世界シェアトップはサムスン電子、次いでLG電子と、韓国企業が1位と2位を独占しています。日本企業としてはソニーが3位にランクインしていますが、シェアはサムスンの3分の1以下です。4〜6位は全て中国企業であり、世界のテレビ市場で日本勢は存在感が薄い事が分かります。
次に、日本市場での薄型テレビの企業シェアです。こちらはシャープ、パナソニック、東芝と、日本メーカーが上位を独占しており、完全に自国バイアスが掛かった市場であることが分かります。世界シェアで1位と2位を獲得していた、サムスンやLGは見当たりません。
実は以前はサムスンも日本でテレビを販売していましたが、売れ行き不振で既に撤退しています。これは、日本人の自国バイアスが根強い(日本製が良いという思い込みが強い)ことに加え、昨今のネットユーザーを中心とした嫌韓意識の強まりも理由でしょう。
いずれにせよ、世界市場で巨大なシェアを獲得しているサムスンやLGが日本では全く売れていない、逆に日本企業の製品は世界では不人気だという状況は、グローバル視点からはかなり異質です。日本の携帯電話市場はガラパゴスだと言われ続けていましたが、テレビ市場も日本はガラパゴス化が進んでいるようです。
日本企業が海外で苦戦している大きな理由は、テレビは高付加価値にしても売れない商品だからです。テレビ市場は先進国だけでなく、中国や東南アジアなど新興国の販売数の方が多いです。新興国の人は、テレビは「映像が見れればそれで良い」と考えており、画面の美しさなどその他の付加価値を重視する人は極めて少ないです。そのため、日本の企業が性能にこだわったテレビを作っても売れず、価格の安いサムスンやLGのテレビが選ばれているのです。
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ちなみに、近年は中国人観光客が日本の家電量販店などで大量の買い物をする、いわゆる「爆買い」が有名になりました。しかし、爆買いされているのは炊飯器や電気ポット・ドライヤーなどが中心であり、テレビを買う人はほとんど居ないです。日本で販売されているテレビは、電圧や周波数の関係上、そのままでは中国で利用出来ないからです。爆買いの対象にもならない日本のテレビは、今後ますます世界市場でのシェアが低下していきそうです。
世界と日本の薄型テレビシェア比較まとめ
・世界のテレビ市場は、サムスンやLGなどの韓国企業のシェアが大きい
・日本市場はシャープやソニーなど日本製しか売れないガラパゴス市場
・テレビはコモディティ商品=高付加価値にしても売れにくい
日本のシャープやソニーなどは、未だにテレビ事業に注力していますが、価格競争で中国勢に勝てる可能性はゼロなので、今後シェアを伸ばしていく事は極めて困難です。アメリカがそうなったように、将来的には日本企業がテレビ市場から完全撤退を余儀なくされる日が来るでしょう。
当サイト管理人は、完全なる「愛国&嫌韓主義者」ですが、日本の家電企業の経営方針だけは全く応援できません。テレビは既にコモディティ商品(品質に差がなく、価格が全ての商品)と化しているので、テレビ事業再建に拘っても失敗が見えているからです。アメリカのGE(ゼネラルエレクトリック)がそうしたように、日本企業もコモディティ化した家電事業から早急に撤退し、他の稼げる分野にシフトすべきです。でないと、経営破綻して外資に捨て値同然で買収されるという、シャープや東芝の過ちを繰り返す事になりかねないと思います。