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バングラデシュの人口推移と将来予測

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バングラデシュはインドの東に隣接し、アジアで最も貧しい国の一つです。1970年代前半では、バングラデシュの貧困率(所得が国民平均値の半分に満たない割合)はおよそ75%もありました。しかし近年の貧困率は2000年には約50%、2016年には24.3%と、所得水準は大きく上昇しています。2018年の一人当たりGDPは1736ドルで、これは10年前のおよそ3倍の数字です。

このような生活状況の改善に伴って、バングラデシュの人口は増加を続けています。以下は、バングラデシュの人口推移と将来予測のグラフです。

バングラデシュの人口推移と将来予測グラフ

※データ出典;United Nations Population Division (国連人口統計)の中位予測

バングラデシュの人口は1980年では約8300万人でしたが、1988年には1億人を突破、2019年現在では約1億6500万人で、世界第8位の人口になっています。今後も更に増え続け、2045年には2億人を突破すると見込まれています。

バングラデシュは国土が14万7千平方kmと狭く、これは日本(37万8千平方km)のおよそ4割しかありません。そのためバングラデシュは、人口密度(1平方km当たりの人口)も約1200人で世界第7位となっています。人口密度が高い国は、シンガポールやバーレーンなど人口の少ない国が大半です。人口1000万人を超える国としては、バングラデシュは世界一の人口密度となります(⇒世界の国の人口密度ランキング)。

1970年時点で、バングラデシュの出生率は6.95もありました。途上国では子供を労働力と考えるため、貧しい国ほど出生率は高い傾向があります。この出生率の高さが、バングラデシュの人口増加の大きな理由です。しかし、経済発展と共に出生率は減少、2016年には2.1まで低下しており、今後の人口増加ペースは緩やかになると推測されています。

繊維産業で世界の工場となりつつある

他にバングラデシュの人口増加の理由は、国内で十分な食料供給ができた事です。バングラデシュは国土の大部分が農耕可能地域で、ガンジス川やブラマプトラ川など水資源にも恵まれているため、農業が発展し食料生産量の多さが人口増加に繋がったのです。とはいえ、近年は急激な人口増加に供給が追いつかず、海外から食料を輸入せざるを得ない状況に陥りつつあります。

近年のバングラデシュは、主に繊維産業の輸出によって経済成長しています。21世紀初頭まで「世界の工場」といえば中国でしたが、近年は経済発展に伴って人件費が高騰しており、生産拠点として避けられるようになりました。そんな中で、バングラデシュは人件費の安さから、中国に代わりグローバル大企業の新たな生産拠点となりつつあります。

日本のユニクロが、いち早くバングラデシュを生産拠点にした事は話題になりました。今では衣料の輸出量は中国に次ぐ世界第二位であり、世界のアパレル企業の工場が乱立しています。

グラミン銀行のマイクロファイナンス

バングラデシュの経済発展の象徴として、グラミン銀行の存在は有名です。1983年にチッタゴン大学のムハマド・ユヌス博士によって設立されたグラミン銀行は、貧困層を救済するためのマイクロファイナンス(小口融資)という画期的システムで成功しました。

通常、銀行からお金を借りるには土地などの担保か保証人が必要ですが、グラミン銀行は担保を必要としないため、貧困層でもお金を借りやすいのです。グラミン銀行の融資は、同じ地域の借手5人で一組のグループを作り、連帯責任を取らせる仕組みです。融資は順番で、まずグループの一人に融資が行われ、その返済が終わると次の人が融資を受けられる〜という仕組みです。

全員が返済できなかったとしても、次の人が融資を受けられなくなるだけであり、債務を肩代わりする義務はありません。他人の借金を背負う心配はないものの、主な借り手である農村部では「村八分」のプレッシャーが強いので、返済率は高いのです。2009年時のデータでは、貸し倒れ率は0.5%以下だったという事です。

バングラディシュの農村部では、女性達がこのマイクロファイナンスによって事業を興し、自立するケースが増えて経済を底上げしています。こうした活動が認められ、グラミン銀行設立者のユヌス氏は、2006年にノーベル平和賞を受賞しています。

バングラデシュの人口推移と将来予測まとめ
・バングラデシュの人口は1億6500万人で、今後も増え続ける予測
・出生率の高さと十分な食糧供給が人口増加に繋がった
・グラミン銀行のマイクロファイナンスが貧困層の救済に貢献した

余談ですが、バングラデシュの国旗は緑の背景に赤い丸というデザインで、日本の日の丸と酷似しています。これは偶然似たという訳ではなく、実際に日本の国旗を参考にデザインされたという事です(背景の緑は豊かな自然、赤丸は独立のために流された血の意味)。バングラデシュは親日国家であり、古くからの結び付きが国旗のデザインにも表れているのです。

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