HOME > 国と地域 > イギリスの貿易相手国と割合(輸出・輸入別)
イギリスはブレグジット(EU離脱)問題で混乱が続いていますが、実際にどの位の経済的影響があるのでしょうか?イギリスの貿易相手国とその割合を、輸出・輸入別に円グラフでまとめました(ソース;世界国勢図絵・2018/19)。
まず前提知識として、イギリスは貿易赤字が長年続いています。というより貿易だけでなく、慢性的な経常赤字国でもあります。2016年の経常収支は1548億ドルの赤字であり、アメリカに次いで世界で2番目の大きさでした。
以下はイギリスの輸出相手国とその割合グラフです。アメリカが最大ですが、2位以下はドイツ・フランス・オランダ・・・とEU圏の国々が並んでいます。輸出品目別に見た上位は、機械類(21.4%)、自動車(12.1%)、医薬品(8.1%)、航空機(5.0%)と続きます。
一方で輸入相手国も、中国が3位に居る以外は輸出と似ており、1位のドイツなどやはりEU圏の国が多いです。輸入品目別では、機械類(20.8%)、自動車(11.5%)、金(9.2%)、医薬品(5.3%)と続きます。
機械類・自動車・医薬品などが、輸出でも輸入でも上位になるという、日本の感覚からすれば相当に珍妙な貿易品目です。しかし実はこの構成、ドイツやフランスやイタリアでもほぼ同じであり、自由貿易圏であるEUの国々の特徴なのです。
このようにEUの国々は、自由な貿易を通じて相互依存度の高い経済圏になっているのです。ではイギリスが本当にEU離脱となれば、どれだけの影響が出るのでしょうか?
下記の動画であるように、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)の試算によると、最悪のケースだとGDPで「マイナス8.0%」と、リーマンショックをも上回る経済の大クラッシュが起きると警告しています。関税が掛かることだけでなく、通関手続きが煩雑になること等、金額面だけではない悪影響もあることが理由です。また、英国経済の原動力であった「金融業」も崩壊し、金融街・シティから100兆円以上の資金が流出するとも予測されています。
このように、イギリスにとってはEU離脱は、貿易を停滞させ、国家の破綻すら掛かる大問題です。しかし世界経済にとっては、リーマンショックはおろか、さほど大きな影響が出ないのでは?という予測もあります。
確かに2016年の国民投票でブレグジットが決まった際は、英ポンドが暴落すると共に、世界中の株価も暴落しました。しかしあの時は「さすがに離脱はないだろう」と投資家の予想が偏っていた時に、予想外の離脱派勝利になったことが原因です。
しかし当稿執筆時(2019年1月末現在)は「流石に実現はしない(何とか混乱は回避される)」という予測だけでなく、「本当にブレグジットしてイギリスが破綻する」という悪い予測もマーケットでは織り込まれています。金融市場は、予想外の事が起きた時にクラッシュするのであって、現在ではイギリスがどう転ぼうと全て織り込み済み、世界の金融マーケットでは大暴落は起きないのでは?とも予想されます。
もちろんEU圏の国々〜特に当事者であるイギリス経済には、巨大なダメージを与えるでしょう。しかしイギリスのGDP成長率でも述べたように、そもそも英国は大きなイノベーションを生めずに老害化したポンコツ国家です。20世紀までは大国のフリをして威張っていましたが、いずれ何処かで化けの皮が剥がれる運命にあったのです。
日本企業は、さっさと英国市場など捨てて、より高い成長が見込めるアジアに目を向けるべきなのです。ブレグジットは、欧米コンプレックスを抱え続ける日本人に「脱亜入欧」の巻き戻し(脱欧入亜?)を強要させてくれる、良い機会ではないでしょうか?