HOME > 国と地域 > インドの将来の人口推移予測
2017年現在、インドの人口は約13.2億人で、中国(13.7億人)に次ぐ世界第二位となっています。しかし、今後インドの人口は増加を続け、近い将来中国を抜くと推測されています。そこで国連の統計を基に、インドの将来の人口予測グラフを作成してみました。
※データ出典;United Nations Population Division (国連人口統計)の中位予測
インドの人口は右肩上がりで増え続け、2050年には16.58億人にまで増加すると見込まれています。それに対し、中国の人口は2030年頃の14.41億人がピークとなり、以後は減少していくと予測されています。2025年頃には、インドが中国を抜いて人口世界一になると推定されます。
国の人口を維持していくには、出生率が2.07以上必要とされています。インドでも近年は少子化傾向ですが、2015年時点の出生率は2.4ほどあるので、今後も人口は増え続けます。一方、中国はかつて出生率が6を超えていたものの、人口抑制のために行われた一人っ子政策の影響で、1990年代から出生率は2を割り込んだままです。
日本では子供を育てるのにはお金が掛かるので、あまり子供を作りたくないと考える夫婦が増加傾向にあり、それが少子化に繋がっています。ですが、インドをはじめとする発展途上国では、子供は貴重な労働力であり、沢山居るほうが家計が助かると考えられています。
インドでも、観光客に歌やダンスを披露してお金をもらったり、土産物などを販売して稼ぐ子供は多いです。また、物乞いをしてお金を恵んでもらう子供も増加しているとの事です。真面目に働く低所得労働者より、物乞いをする子供の方が日給が高い〜という口コミもある程です。
そして兄弟が沢山居ると、両親が共働きに出ても子供の面倒は兄や姉がある程度見れるので、実は子育てに掛かる手間は一人っ子の時とたいして変わらない事が分かっています。こうした事情から、インドの夫婦は子供を多く産んで、家庭全体で収入を増やそうとする傾向があるのです。ちなみに、インドにも義務教育はありますが、家庭が貧しいために学校に通えないケースが多く、幼い頃から働いている子供が珍しくないというのが実情です。
なお、日本や中国は国民の多くが高齢者ですが、インドの人口ピラミッドは子供や若者の比率が多く、健全な形をしています。 近年、インドは経済発展により医療水準も上がり、乳幼児の死亡率が大幅に減少しています。そのためインドは、日本や中国のような少子高齢化とは真逆の、多子若齢化社会となっているのです。若者が多い事は労働力の増加にも繋がり、また内需の拡大も期待出来るので、経済発展していくうえで理想の環境となっているのです。
ちなみにインドは「世界最大の民主主義国家」とも呼ばれています。日本では、歪んだ社会科教育のせいで「インド=カースト制=人権や民主主義がない国」と連想する人が多いですが、この認識は間違いです。カースト制はあくまでヒンズー教の身分制度に過ぎず、政治や経済のシステムはまた別です。2014年に首相となったナレンドラ・モディ氏が下位カースト出身という事実が、民主主義が成立している事を証明しています。
近年、インドは経済が目覚しい発展を遂げているものの、まだまだ貧富の差は激しいです。インドの富裕層は人口の1%程度ですが、その富裕層がインドの総資産の50%以上を保有していると言われています。こうした貧富の差を解消していく事が、インド経済の課題になります。
インドの将来の人口推移予測まとめ
・国連によるとインドの人口は2050年には16億人超になると予測
・2025年頃にインドが中国の人口を逆転する
・インドは人口ピラミッドが健全で、若者が多く高齢者が少ない
2017年9月に安倍首相がインドを訪問、モディ首相と会談すると共に経済協力を取り付けましたが、日本企業はもっとインドの将来性を見込んだ投資をすべきです。スズキなど一部の企業を除いて、日本はインドへの進出が遅れています。日本企業はオワコンなヨーロッパ市場など捨て、早くインドや東南アジアなど人口が巨大な成長マーケットに注力すべきです。