HOME > 国と地域 > 日本経済は既に二流国に成り下がっていた!?
2010年、中国のGDPが日本を追い抜いた事で、日本は世界第3位に後退した事が話題になりました。しかし日本人の多くが、我が国はまだまだ世界トップレベルの経済大国だと信じて疑わないのが実情です。
そもそも、GDPとは国内総生産の意味であり、国民全体が1年間に新しく生み出した商品やサービスの金額を合計した数字です。つまり、人口が日本の10倍(13億人以上)もある中国のGDPが日本を上回った事は、何も不思議ではありません。
ゆえに、国の豊かさを比較する場合は、一人当たりGDPを用いる方がより正確です。以下は、世界のGDP上位10カ国+G7の7カ国+韓国・中国の合計18カ国で、2014年の一人当たりGDPを比較したランキングのグラフです。
これを見ると、日本の一人当たりGDPはおよそ3万6000ドル(約400万円)で、世界27位という驚きの低さとなっています。G7の中で日本より下なのは、財政危機が叫ばれていたイタリアだけです。2000年頃までの日本は、一人当たりGDPも世界第3位前後を維持していましたので、21世紀に入ってから大きく順位を落としています。
この事実だけを見れば、かつて経済大国だった日本は、一人当たりGDPで見れば既に二流国に成り下がっていた!とも言えるのです。
ですが、これは日本経済が落ちぶれただけではなく、他の事情もあります。
一人当たりGDPの上位国をみると、ルクセンブルグやサンマリノはタックスヘイブン(無税〜超低税率国家)として海外から富裕層を集めているだけのインチキ国家です。スイスや、ノルウェー・スウェーデン・デンマークなどの北欧諸国は、国民の所得も多いが税率も極めて高い「高福祉高負担」の国家で、しかも物価も高いので、国民生活が本当に豊かなのかは疑問です。
また上位の国は、アメリカとオーストラリアを除けば、全て人口1千万人以下の小国です。ゆえに国家が産業を取捨選択し、国家のリソースを「勝てる産業だけ」に集約する事ができる強みを生かしただけ、とも言えます。そしてオーストラリアは先進国としてはインフレ率が恒常的に高く、賃金も高いが物価も非常に高いことで有名です。
実は一人当たりGDP世界トップ10の国々は、アメリカ以外は見せかけの数値に過ぎないと言っても過言ではありません。またG7〜巨大先進国同士の比較も、その時々の対米ドルの為替レートに大きく左右されるので、1〜2割の差はあまり意味のない比較です。
一人当たりGDPという指標も上記のように万能ではないので、冒頭で「日本は既に二流国に成り下がっている」などと自虐したことも、実は気にするような話ではないのかも知れません。
なお、GDPの総額が日本を抜いて世界第2位になった中国は、一人当たりGDPでは80位でしかありません。中国は一部に富裕層もいますが、まだまだ貧困層が大半を占めており、国全体としてはとても裕福とは呼べない状態です。
日本経済は既に二流国に成り下がっていた!?まとめ
・一人当たりGDPランキングで日本は世界27位にまで後退した
・しかし上位の国は「見せかけの豊かさ」だけである
・為替レートにも大きく左右されるので、あまり悲観する事はない
・中国は一人当たりGDPで見るとまだ発展途上国
ちなみに、一人当たりGDPを購買力平価という方法で直すだけで、様相が変わってきます。統計期間である2014年末の為替レートは1ドル約120円ですが、購買力平価で直すと1ドル=100円程度が妥当なラインです。仮に1ドル100円として計算し直すと、およそ4万3000ドルとなり、ドイツ、イギリス、フランスといったG7各国とほぼ同等の水準になります。