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韓国の実質GDP成長率の長期推移

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韓国の実質GDP成長率の長期推移 (過去50年)をグラフに表しました。日本との比較では、韓国の方が経済成長率が上回っている時期が多いです。そもそも発展途上国であった韓国の方が、スタート位置が低い分、上昇余地が大きいという当たり前の理由です。

韓国の建国は1948年ですが、その前にあった第二次世界大戦と、直後の1950年に起きた朝鮮戦争により、経済はボロボロの状態から始まっていますから、1960〜70年代の高成長は当たり前のことでした。

1980年に、第二次オイルショックや国内で多発していたクーデターの影響で、大幅マイナス成長に陥りましたが、1983年辺りからはソウルオリンピック(1988年開催)の特需もあって、GDP成長率は年率10%を超える高成長の時代へと入りました。日本が、1964年の東京オリンピック特需で高度経済成長期を迎えたのと同じ事が、約20年遅れで韓国にも訪れた訳です。

1990年代に入っても10%近いGDP成長率を続けていましたが、1998年に韓国経済は突如、マイナス5%を超える大破綻を起こしています。アジア通貨危機と呼ばれた金融恐慌が韓国経済を襲い、通貨・ウォンが大暴落して、デフォルト同然の状態に追い込まれます。最終的には、IFM(国連通貨基金)の金融支援を受けるまでに至ったのです。この時、財閥解体も行われ既得権益の多くが破壊されると共に、韓国国内にも欧米資本が大量に入り込み、否が応でもグローバル経済の中に組み込まれる事になったのです。

※現在でも韓国ウォンは、デノミ(通貨の切り下げ)が必要なほど低水準で、信用度がとてつもなく低い通貨です。当稿執筆時(2019年初頭)の為替レートは1ウォン=0.098円と、トルコリラやベトナムドンと並び世界で最も価値の低い通貨の一つです。

2000年代以降は、解体を免れた大財閥〜サムスン・現代・LGなどの輸出が経済を牽引して、日本より高い経済成長率を続けています。特にサムスン電子は、テレビなどの家電製品や(iPhoneの完全パクリとはいえ)スマートフォンで世界シェア一位の、巨大企業に成長しました。

内需(個人消費)が弱く、サムスン等の輸出頼みな経済

このように、現在の韓国のGDP成長率を支えているのは、家電(サムスン・LG)や自動車(現代)などの輸出です。というより、韓国経済は完全に外需頼みな構造です。GDPに占める個人消費の比率は、日本やアメリカなどに比べて遙かに低いです。

主要国のGDPに占める個人消費の割合
韓国 日本 アメリカ イギリス フランス ドイツ 中国
48.7% 55.9% 68.8% 65.8% 55.3% 53.2% 39.3%

※中国も個人消費が少ないが、政府の公共事業(総資本形成)で無理やり経済成長を支えるいびつな経済です⇒中国の実質GDP成長率の長期推移

韓国は人口5千万人ほどで日本の半分以下であり、しかも日本同様に出生率が極めて低いです。また一人当たりGDPこそ先進国並でも貧富の差が激しいため、国民の消費額=内需が極めて弱いという弱点があります。

加えて韓国は、過度の競争社会・学歴社会となっている問題も指摘されます。確かに学生時代から競争に揉まれた事が、サムスンなどの大企業が成長してきた原動力ではあります。しかし、儲かっているのは一部の大財閥企業だけで、中間層が育たず貧富の差が拡大しています。就職に失敗した若者が「チキン店を始めるか、餓死するかのどちらかだ」とテレビで報じられるほど、社会の階層化〜失敗者が再出発できない、硬直化した社会を生んでいます。

韓国の実質GDP成長率の長期推移まとめ
・韓国は戦後、10%前後の高水準の経済成長率を続けていた
・だが1997年のアジア通貨危機で、通貨=ウォンが破綻した
・内需がとても弱いので、輸出頼みの経済

今後も韓国は、人口が増えない上に硬直化した国内市場なので、内需は全く期待できません。よってGDP成長率は輸出次第だという構造は、今後も変わらないです。しかもアジア通貨危機以降も、ウォンがゴミ通貨である事は不変なので「輸出を伸ばしたので通貨安政策を取る⇒通貨危機でIMFや日本(日韓スワップ)にねだる」という負の連鎖も、永久に続きそうです。

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