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日本全国のホテル稼働率の推移

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昨今は、インバウンド(訪日観光客)増加の影響で、全国的にホテルが取りづらい状況です。東京都内では「出張なのにビジネスホテルが全く取れない!」「アパホテルが一泊3万もした!」などと嘆きの口コミで溢れています。

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ではどの位、ホテルの稼働率は上がっているのでしょうか?以下は、観光庁の公式統計による全国の宿泊施設稼働率をまとめたグラフです。

宿泊施設稼働率の推移

ご覧のように、実は東京では巷の口コミの印象ほどは、宿泊施設の稼働率は上がっていません。2011年の東日本大震災で一時的に稼働率が下がったのが元に戻っただけで、元から80%前後と高い水準でした。そして全国平均の稼働率もまた、東京と同様、あまり水準は変わっていません。

問題が最も深刻なのは、実は大阪です。2009年の68%だった稼働率が、2016年には84%と激増しています。2016年には「旅館」を除く全宿泊施設〜ビジネスホテルやリゾートホテルから簡易宿所まで、全て大阪が全都道府県中1位の稼働率となっています。

全国の宿泊施設稼働率ランキング
順位 都道府県 稼働率
1位 大阪府 84.1%
2 東京都 80.4
3 福岡県 70.8
4 愛知県 68.5
5 京都府 67.6
6 神奈川県 67.1
7 千葉県 65.5
8 埼玉県 65.1
9 熊本県 59.6
10 石川県 58.0
- 全国平均 57.0%

※ランキングは2016年12月の全宿泊施設の平均値。

大阪のホテル稼働率が高い理由は明白です。東京は、横浜や川崎・大宮・船橋など東京都心へ1時間圏内の周辺都市にもホテルが多く、宿泊難民の「疎開場所」が多いです。ところが大阪は、周辺都市である京都や奈良が、観光地にも関わらず実はホテルが極端に少ない地域です(建築規制などが原因)。むしろ京都の観光客が大阪で宿泊する事の方が多いので、大阪の宿泊率が過密になる一方なのです。

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上記ランキングを見ても分かるように、大阪と東京が突出して稼働率が高いのに、大阪は東京と違って宿泊難民の疎開場所が無いのですから、最悪の状況なのです。インバウンドの影響が目に見えてきた2014年当たりから、ようやく大阪でもホテルの新設が増え始めましたが、東京に比べて大きく出遅れています。

みずほ総研によると、このペースだと2020年時点で東京・大阪など主要11都府県で、4万1千室のホテルが不足すると予測されています。大阪のホテルの稼働率は、下手すると「年間平均でも」90%を越えてくる可能性があります。

大阪のホテル稼働率がヤバイ!

政府は東京オリンピックの2020年には4千万人、2030年に6千万人のインバウンド観光客誘致を掲げています。しかしこの数値は、元々は東京オリンピックまでに2千万人だったものが、近年の予想以上の観光客の増加で上方修正されたのです。ホテル業界にとっては、2倍に上方修正される事など寝耳に水で、想定外の需要増加だったのです。

しかも、ホテル建設計画を前倒ししたくても、東北の震災復興需要とオリンピック関連施設の特需により、建設業界が人手不足で行えないのです。

大阪が全国に先駆けて民泊特区条例を制定に動いたのも、ホテル建設が間に合わず、パンクする事が目に見えているからです。しかし、ホテル業界の猛反発や、エアビーを毛嫌いするマンション住民の反対圧力が強く、現時点での民泊条例は実現性の低い骨抜き法案に留まっています。

大阪市では、民泊で最大のネックだった「6泊7日以上の宿泊に限定する」が「2泊3日以上」に短縮され、年間営業日数(180日未満)の規定も除外されました。ですが消防法令の適合証明書の提出、24時間体制の苦情窓口設置、宿泊者のパスポートの確認など、今だ高いハードルが設けられており、一部の専門業者以外が参入する事は困難な状況です。

以上の状況から、全国の大都市では今後もホテル稼働率が上昇する一方だと予測されます。特に大阪府は、稼働率が日本一高い状況を改善できる見込みはなく、ホテルのパンク状態が続く事が確実です。大阪へ出張・旅行に行く際は、ホテルの予約は2〜3ヶ月前でも遅い位ですから、宿泊難民を避けるためにとにかく早く予約すべきです。

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